自動直進田植機

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要約

自動直進田植機は、直進作業行程で、事前に取得した目標進行方位を維持する自動直進走行を行うことができる。自動直進中は操舵操作を行う必要がなく、オペレータは苗マットの補給や植付け状況の確認、作業部の調整等を行うことができる。

  • キーワード:田植機、自動直進、目標進行方位、自動操舵
  • 担当:生研機構・基礎技術研究部・メカトロニクス研究
  • 連絡先:048-654-7045
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

乗用田植機による田植え作業では、オペレータは車両の操舵操作等に専念する必要があり、走行・作業中に苗マット等の資材補給や作業状況の確認、作業部の調整などを行うことができない。そこで、作業の軽労化や、作業能率、作業精度の向上を目標に、直進作業行程において自動直進が行える田植機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 自動直進田植機(図1)は、自動操舵ができるようにした田植機に自動直進のための装置を装備したもので、田植え作業における直進作業行程で、事前に取得した目標進行方位を維持して自動直進が行われるよう操舵が自動制御される田植機である。
  • 自動直進田植機は以下により構成される。
    (1)地磁気方位センサとジャイロにより車両進行方位を検出する航法センサ。
    (2)航法センサからの情報や車両・作業機の状態情報を入力し、操舵制御信号を出力するコントローラと操作盤(図2)。
    (3)操舵制御量の決定やシステムの状態を判別する制御ソフトウェア。
    (4)操舵制御アクチュエータや速度センサ等を装備した田植機。
  • 自動直進の方法や機能は以下のとおりである。
    (1)目標進行方位は、自動直進開始前の手動運転中に自動的に取得、設定される。
    (2)自動直進は、操作盤の自動直進ボタンによって随時実行/解除される。
    (3)自動直進中に操作盤の経路修正ボタンを押すと進行横方向のズレ修正が行われる。
    (4)自動直進中に行程終端に近づくと作業者に警報を発信し、行程終端で植付けを終了すると自動直進は解除される。
  • 自動直進田植機の自動直進性能は、1.0m/sまでの走行速度において、目標経路との平行度でみて概ね偏差0.1 ゚(30mの走行で横方向変位5cm)以下である(表)。
  • 経路修正ボタンを適宜使用すれば、長い距離の自動直進を行うことが可能であり、また、自動直進中に苗補給や植え付け状況の確認が可能なことから、自動直進田植機は労働負担の軽減や作業能率、作業精度の向上に寄与する。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化する予定である。
  • 圃場の凹凸等により自動直進中に横ズレが大きくなった場合は、経路修正ボタンにより適宜ズレ修正を行う。

具体的データ

図1自動直進田植機

図2操作盤

図3自動直進中の苗補給

表:自動直進田植機の試験結果例

 

 

その他

  • 研究課題名:農用車両用自律直進装置
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)
  • 研究期間:1998~2001年度
  • 研究担当者:松尾陽介、山本聡史、津賀幸之介、鷹尾宏之進、行本 修、日本航空電子工業(株)、井関農機(株)、ヤンマー農機(株)
  • 発表論文等:1)平成13年度生研機構研究報告会資料
    2)特許出願「農作業機の操向制御装置」(特願平11-351410)他