腰背部ひねりセンサ

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要約

フレキシブルシャフト、回転角度センサを組み合わせて、従来測定が困難であった腰部から胸部の間のひねり角度を測定するセンサである。本センサにより農作業の快適性向上や健康障害防止に関る作業者の体幹部のねじれを容易に計ることができる。

  • キーワード:作業姿勢、動作、ひねり、センサ
  • 担当:生研機構・基礎技術研究部・安全人間工学研究
  • 連絡先:048-654-7050
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

農作業の快適性向上、健康障害防止のため、作業姿勢、動作の測定評価は重要である。しかし、従来の屋外で使用可能な姿勢記録装置は、各部位の傾斜角度のみ測定可能である。 また、ひねり動作測定用センサは、ストレインゲージ式、角速度センサ式、ジャイロ式等があるが、耐久性が劣る、高価、複雑な電子回路が必要、脊椎のように複雑な関節への適用には不十分、振動の大きい場所では測定が困難の問題がある。よって、農業分野での適用は困難である。これを解決するため、ひねり動作を簡易に測定可能なセンサを開発する。

成果の内容・特徴

  • ひねり動作の測定原理
    体の胴体を円柱とみなし、円柱下端を固定し、上端を軸中心O周りに角度α回転させたとする(図1左)。この時、外周上のある点Pの接線の方向は角度β変化する。円柱の断面形状が変化しない限り角度αとβは同一である(図1右)。よって、2点間の接線方向の変化角度βを測定すれば軸中心O周りのひねり角度αが把握できる。
  • ひねりセンサ概要
    ひねりセンサは、回転角度センサと軸、固定具から構成されている(図2)。ひねりセンサの回転角度センサ側を背部(T6高さ、図1の点P)、軸側を腰部(L4高さ、図1の点Q)の体表面へ各々固定する。胴体をひねると回転角度センサが回転し、角度βを測定できる。今回は、回転角度センサにポテンショメータ(M社LP05M2F1AA)、軸にフレキシブルシャフト(φ3)を使用している。
  • 軸形式
    直立状態で胴体を時計回り及び反時計回りへ周期的にひねった時の測定値は、光学式動作測定機(D社Quick-MAGsystem)と比較しても同等であった(図3)。また、ひねりに屈伸動作を含む場合も遜色なかった。なお、屈伸動作時の引っかかりや周囲との緩衝の影響を考慮し、フレキシブルシャフトを直線状のもの(直線形)、ループ状にしたもの(ループ形)の2形式を用意している(図2)。直線形は、屈伸動作が小さい、座席の背もたれ等周囲とセンサが接触する恐れがある、ひねり動作が比較的速い場合に適している。ループ形は、屈伸動作が大きい、周囲とセンサが接触する恐れがない、ひねり動作が比較的遅い場合に適している。

成果の活用面・留意点

  • ひねり動作測定用の簡易センサとして実用可能である。
  • 他の部位のひねり動作計測については、未確認である。

具体的データ

図1:ひねりセンサの測定原理

図2:ひねりセンサの概要

図3:ひねりセンサと光学式測定機の測定値比較

 

 

その他

  • 研究課題名:農業機械作業の安全・快適性評価技術の開発
  • 予算区分:経常・所内特研(一般)
  • 研究期間:1997~2001年度
  • 研究担当者:菊池 豊、石川文武
  • 発表論文等:菊池・石川(1999)農作業研究34(別1)35-36、菊池・石川(2000)第59回農機学会講要109-110、特許出願中(特開平11-332852)