中山間地域対応自脱型コンバイン

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要約

小区画圃場での収穫作業や狭い農道での移動に対応し、かつ軽トラックに積載可能な構造を有する自脱型コンバインであり、中山間地域の収穫作業の効率化、労働負担の軽減に寄与できる。また、乗用でも歩行でも運転操作が可能であることから、安全な作業が可能である。

  • キーワード:中山間地域、自脱型コンバイン、収穫
  • 担当:生研機構・生産システム研究部・収穫システム研究
  • 連絡先:048-654-7077
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

中山間地域は、圃場が小さく不整形であり、農道や圃場への進入路は狭く、急傾斜であることからコンバインの普及が平地地域に比べて進んでいない。そこで、中山間地域の収穫作業の効率化、労働負担の軽減を図り、安全な作業を行うため、中山間地域の実情に適応した超小型の乗用自脱型コンバインを開発する。

 

成果の内容・特徴

  • 図1、表1に示すように、本機は5.9kWのガソリンエンジンを搭載した超小型の乗用2条刈り自脱型コンバインである。なお、脱穀した穀粒は、選別後袋詰めされ、排わらはカッタで細断される方式である。
  • 超小型の乗用自脱型コンバインであることから、約2m程度の幅があれば旋回でき、また小区画で不整形な圃場でも畦畔際まで効率的な刈取りができる。更に、機体幅も狭いことから、片側に障害物がなければ、1.2m幅の狭い農道でも移動が可能である(表1)。
  • 圃場での収穫は、コンバインに乗って運転操作を行うが、圃場への進入あるいは圃場からの退出の場合、畦畔を乗り越える場合、傾斜農道を移動する場合は、コンバインを降りて安全な運転操作ができる(図1)。
  • 一部部品(刈取り部、カッタ)を取り外せば軽トラックに積載可能である(表1)。
  • 稲麦に対する作業精度も一般の自脱型コンバインと同程度であり、実用性の高いコンバインである(表2)。
  • 水稲収穫における作業能率は、平地で5.4a/h(供試面積:5.1a)、中山間地域の小区画、不整形な圃場で3.0a/h(平均供試面積:2.1a)である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化が予定されている。
  • 中山間地域のバインダ利用農家や歩行コンバイン利用農家が利用できる。また、平地の小規模農家の収穫用や坪刈り用としても利用できる。
  • 傾斜地での移動は、必ずコンバインから降車し、運転操作を行う必要がある。

具体的データ

図1:中山間地域対応自脱型コンバインの概要

図1:中山間地域対応自脱型コンバインの概要

表1:中山間地域対応自脱型コンバインの主要諸元

表1:中山間地域対応自脱型コンバインの主要諸元

表2:試験結果

表2:試験結果

 

 

その他

  • 研究課題名:中山間地域対応自脱型コンバインの開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)
  • 研究期間:1998~2001年度
  • 研究担当者:杉山隆夫、牧野英二、市川友彦、三菱農機(株)、ヤンマー農機(株)
  • 発表論文等:中山間地域対応自脱型コンバインの開発、第58回、60回農機学会年次大会講演要旨、299-300(第58回)1999、47-48(第60回)、2001、特許5件、意匠登録1件出願中