コンバイン性能試験用もみ選別装置

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要約

コンバイン収穫もみ中の夾雑物割合および損傷粒割合の測定に必要な選別作業を省力的に行うことのできる一連の装置である。

  • キーワード:コンバイン、作業精度、試験法、夾雑物、損傷粒、選別、画像処理
  • 担当:生研機構・評価試験部・作業機第2試験室
  • 連絡先:048-654-7108
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

コンバインの作業精度を評価する上で、穀粒口から採取されたサンプルの夾雑物(わらくず・しいな等)および損傷粒(脱ぷ粒など)の割合は重要な指標である。現状では、その測定は手選別により行われているが、長時間の単純労働である上、多大な労力を要し、省力化が求められている。そのため、これを省力的に行うことのできる装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発した夾雑物選別装置(図1)は、夾雑物の反発係数が穀粒に比較して小さいことを利用している。薄層で定量供給されるサンプルを水平面に対して30度に傾斜した鉄板上に落下させ、反発後の落下位置の違いにより夾雑物を選別する。
  • この装置により、コンバイン作業精度試験もみサンプル(約600g/サンプル)を選別すると、夾雑物の約70%を回収箱1および2に回収できる。夾雑物量の正確な測定には、各回収箱内の手選別が必要であるが、その作業を含めた能率は約0.7人・時/サンプルであり、慣行手作業(損傷粒選別作業と同時作業の場合、約3.7人・時/サンプル)に比較して省力効果が大きい(表1)。
  • 開発した損傷粒選別装置(図2)は、損傷粒と穀粒の透過画像における輝度値の差異を利用している。本装置は、ア)振動フィーダーを利用して溝のある透明なシュートに穀粒を整列供給する。イ)下方から人工光を照射して透過画像を上方のビデオカメラで取り込む。ウ)取り込んだ画像をパーソナルコンピュータ上で処理・判別する。エ)判別された損傷粒を電動シリンダにより移動するエアピンセットにより摘出する。以上の作業をコンピュータ制御により連続して行う。
  • この装置により、コンバイン作業精度試験もみサンプルを選別すると、損傷粒の97%以上が回収できる。所要労力は約0.5人・時/サンプルであり、大幅な省力効果が得られる(表2)。
  • 上記2装置は、1名の作業者が同時に操作することが可能であり、慣行手作業と同程度の精度を持ちながら、穀粒の選別作業の所要労力を慣行手作業の最大1/6に省力化できる。

成果の活用面・留意点

  • 夾雑物選別装置は、改良の上、平成10年度より生研機構の検査・鑑定業務において、手選別作業の前処理工程として実用に供している。
  • 損傷粒選別装置は平成14年度の生研機構で実施する検査・鑑定において実用化する。

具体的データ

図1:試作した夾雑物選別装置

図1:試作した夾雑物選別装置

 

表1:試作した夾雑物選別装置の性能
表1:試作した夾雑物選別装置の性能

 

図2:試作した損傷粒選別装置

図2:試作した損傷粒選別装置

表2:試作した損傷粒選別装置の性能

表2:試作した損傷粒選別装置の性能

その他

  • 研究課題名:コンバインの穀粒口サンプル処理の省力化、損傷穀粒選別装置の開発、損傷穀粒選別装置の実用化に関する研究
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:1994~2001年度
  • 研究担当者:冨田宗樹、濱田安之、菊池 豊、澤村宣志、小野田明彦、北村 誠、安食惠治、森本國夫、中根幸一
  • 発表論文等:平成13年度研究報告会資料、第59回農機学会講要(H12.4)