大粒種子整列播種装置

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

カボチャ等の大粒種子の軸方向と発芽口の位置を一定に揃えてセルトレイに播種する装置であり、能率良く整列播種作業が行える。開発した装置には、標準型のほか、種子方向揃え機構を付加して播種位置の揃いを高めた高精度型がある。

  • キーワード:大粒種子、整列播種、播種作業、省力化
  • 担当:生研機構・基礎技術研究部・バイオエンジニアリング研究単位
  • 連絡先:電話048-654-7048
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

ウリ科野菜の育苗では、発芽後の子葉相互の隠蔽を避けるために整列播種が推奨されている。さらに、セル成型トレイを利用して居接ぎを行う作業や全自動接ぎ木装置による接木作業では、子葉展開方向が揃い、セル内での発芽位置のバラツキが少ない苗を用いることで作業能率及び作業精度の向上が期待できる。そこで、播種作業の省力化及び接木作業のシステム化等を図るために、カボチャ等の大粒種子を、種子の軸方向と発芽口の位置を一定に揃えて育苗トレイに播種できる装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • カボチャ、ユウガオ等の大粒種子の軸方向と発芽口の位置を一定に揃えてセルトレイに播種する装置である。画像データから発芽口の位置を判別して発芽口の向きを揃えて播種することにより播種位置の揃いを向上させた高精度型と、発芽口位置揃えを簡略化した標準型がある(図1)。
  • 高精度型、標準型とも、ホッパから種子を取り出す吸着ノズル、種子の吸着の有無を確認する欠粒センサ、種子の向きを一定に揃えて播種する整列播種部及び作孔部から構成される。
  • 種子整列機構は、図2に示すように円筒形のガイドと底板で構成される。ガイド内に種子を入れ、ガイドあるいは底板を往復動させると、種子は運動方向と直交する方向に長軸が揃えられる。この際、種子はガイド側面に誘導されてガイド内での2次元位置も揃えられる。
  • 高精度型で行われる発芽口位置判別の原理は、種子両端から一定量離れた位置での種子幅を比較して、幅の狭い方を発芽口側と判別するものである。
  • カボチャ、ユウガオ、トウガンを適用した場合の整列播種精度(種子の長軸方向が設定角度±30 ゚以内で1粒播種された種子の割合)は標準型、高精度型とも95%以上である(表)。また、播種された種子のセル内での発芽口位置は、カボチャ‘ひかりパワー’の場合、標準型で8mm×19mm(種子短軸方向×種子長軸方向)、高精度型で8mm×11mmの範囲に95%の種子が分布する(図3)。
  • 播種速度は、72穴セルトレイを用いた場合、標準型は毎時5,500粒以上、高精度型は毎時5,000粒以上であり(表)、手作業に比べ3倍以上の能率で整列播種が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化する予定である。
  • 全自動接ぎ木装置による接ぎ木作業など、播種位置の揃いがより求められる場合には高精度型を適用する。
  • 発芽後の苗の子葉展開方向の揃いを良くするには、播種時のかん水量と管理温度に留意し、斉一な発芽となるよう心掛けるとともに、発芽後は、徒長に注意して育苗する。

具体的データ

図1 整列播種装置

 

図2 種子整列方法 図3 セル内での種子の発芽口位置分布例

 

表.性能試験の一例

その他

  • 研究課題名:大粒種子整列は種装置の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:小林 研、藤井桃子、津賀幸之介、鷹尾宏之進、笹谷定夫、ヤンマー農機(株)、八鹿鉄工(株)
  • 発表論文等:1)特許出願「播種装置」等(特願平10-202819、特願平11-38682、特願2002-341926)