キャベツ調製選別ライン

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

本ラインは、収穫後のキャベツを調製選別するものであり、大型のコンテナを傾斜させてキャベツを出す荷受け装置と、切断の良否を切断部分の緑色の程度で自動判定する調製選別装置等から構成されている。最大1秒に1個の処理を行う能力を備えている。

  • キーワード:キャベツ、調製、選別、色
  • 担当:生研機構・園芸工学研究部・野菜生産工学研究
  • 連絡先:電話048-654-7086
  • 区分:共通基盤・作業技術、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

キャベツの生産において、ほ場で収穫・調製・箱詰めまでを行う体系がある。一方、大規模栽培への展開や出荷作業の省力化を目標に、調製・選別・箱詰めの作業を共選施設等で行い出荷している地域や農家グループもある。後者では、出荷規格に外葉枚数を揃える調製作業や選別作業の省力化が要望されていた。そこで、収穫後のキャベツを外葉の付着程度や大きさ等の違いに対応して、適正に調製し選別することのできる装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本ラインは、荷受け装置、調製選別装置、箱詰めコンベヤから構成されている(図1)。荷受け装置は、500kg程度収容できる大型コンテナを傾斜させ、調製選別装置までキャベツを搬送する(図2)。搬送されてきたキャベツを供給者が調製選別装置の搬送部トレイに切り口を上にして供給する。搬送過程でキャベツの高さを測定し、その値を基に第1切断部で切断を行う。その結果の良否を自動判定し、第2切断部で再切断を行う。その後、大きさによって3段階に選別することができる(図3)。
  • 第1切断部と第2切断部の間に設けた切断良否の自動判定部は、照明、CCDカメラ及びパソコン等から構成されている。撮影したキャベツの切断部分の緑色の程度を8段階に分類する。一番濃い緑色から5段階目までを外葉であると判定し、測定対象領域内(搬送部トレイ中央を中心とした直径約14cmの円)での面積割合を計算する。その値が大きいほど第2切断部の切断量を増やすように制御する。
  • 第1切断部及び第2切断部での切断量や大きさ選別の閾値は、品種や出荷用途に合わせて制御部タッチパネルから入力することができる。
  • 本ラインは、最大1秒に1個の処理速度でキャベツを搬送・調製・選別することが可能である。外葉枚数を規格に合わせて調製し出荷する青果用の場合でも「適切り」の割合が9割以上となる高精度な調製作業が可能である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 平成15年度に実用化の予定である。
  • 最大処理速度である1秒に1個の処理を行うためには、供給者を2名配置する必要がある。
  • 浅切り状態のキャベツは、包丁等を利用し再調製し出荷する必要がある。
  • 調製・選別・箱詰めの作業を施設で行うことにより、個々の農家によるほ場での作業時間は短縮され、生産規模拡大に寄与でき、これまでにない省力的で低コストな出荷体系作りが可能になる。

具体的データ

図1 キャベツ調製選別ラインの概要

図2 荷受け装置

図3 調製選別装置

表1 青果用出荷を目標にした調製精度試験結果

その他

  • 研究課題名:結球葉菜調製選別装置の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)
  • 研究期間:1998. 2002年度
  • 研究担当者:貝沼秀夫、金光幹雄、栗原英治、青木 循、長木 司、安食恵治、ヤンマー農機(株)
  • 発表論文等:貝沼ら.特願2002-246182