畜舎排水浄化処理水の脱色装置

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要約

色度200度程度の茶褐色を呈した畜舎排水浄化処理水に、飽和塩水を電気分解して得られた電解水を添加して色成分の有機物を色度100度以下まで酸化・分解し、脱色する装置。色度を吸光光度計でモニタリングし電解水の添加量を自動制御する。

  • キーワード:畜産環境、畜舎排水、脱色、脱色装置、電気分解、電解水、色度
  • 担当:生研機構・畜産工学研究部・飼養管理工学研究
  • 連絡先:電話048-654-7098
  • 区分:共通基盤・作業技術、畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

活性汚泥浄化処理装置等で浄化処理された処理水は、茶褐色を呈している場合が多く、河川等に放流する際には脱色することが求められるケースが増えている。そこで、有機物によって茶褐色を呈した浄化処理水に、飽和塩水を電気分解し得られた電解水を自動制御によって適正量添加して有機物を分解し、脱色する安価な脱色装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 脱色装置は、飽和塩水タンク、電解水生成装置(無隔膜法)、電解水タンク、反応槽、吸光光度計で構成される(図1、2、表1)。
  • 本装置は、飽和塩水を電気分解して得られた塩素類を含む電解水を茶褐色に呈した浄化処理水に添加し、浄化処理水中の色成分である有機物を塩素類の酸化力で分解し脱色する。
  • 色度200度程度の茶褐色を呈した畜舎排水浄化処理水を色度100度以下に脱色でき、その処理能力は10m3/日(肥育豚で約1,000頭規模に相当)である(表2)。
  • 排水の色度を吸光光度計で測定し、色度が100度以上にならないよう電解水の添加量を自動制御し、過剰な電解水が排水に流れないよう制御できる。
  • 飽和塩水の原料として安価なリサイクル塩(約5円/kg)が使用できる。
  • 本装置の運転費は処理水1m3当たり約55円、10m3の処理にリサイクル塩を約60kg使用する。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業を経て、平成15年度内に市販化の予定である。
  • 機能膜処理後の畜舎排水浄化処理水を対象とし、脱色を必要とする環境規制の厳しい地域に適用できる。
  • リサイクル塩を使うと電解水生成装置の電極にスケールが付着するので時々洗浄が必要である。
  • 色度が200度以上になると処理能力は低下する。

具体的データ

図1 脱色装置のフロー

 

図2 脱色装置の外観

表1 脱色装置の主要諸元

 

表2 脱色供試水と脱色処理水の性状

その他

  • 研究課題名:畜舎排水脱色・リン除去装置の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:道宗直昭、原田泰弘、根津昌樹、福森功、古山隆司、名川稔、(株)共和化工
  • 発表論文等:特許出願中(特願平9-324433、特願2001-192367)