音響可視化手法による効率的騒音低減

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要約

音響インテンシティ法を用いて騒音を可視化することにより、効率的な騒音対策が可能となる。自脱コンバインにこの手法を応用し、騒音の主音源であるエンジン周辺を防振・防音することにより、遮音板の効果と刈取り搬送部からの音の流れや反射、透過が明確になり、効率的な騒音低減対策ができる。

  • キーワード:騒音、可視化、音響インテンシティ、自脱コンバイン、遮音板
  • 担当:生研機構・企画部・研究情報専門役、基礎技術研究部・安全人間工学
  • 連絡先:電話048-654-7036
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

農業機械の騒音は他の産業機械に比べて大きく、騒音の特性も種々雑多である。従来、これらの音の特性は音圧レベルと周波数特性のみでしか捉えられることが多かったが、より効果的な騒音対策には騒音源の特定や音の流れの把握が要求されるので、音の可視化が可能な音響インテンシティ法を適用することにより、より効率的な騒音低減化対策が可能になる。

成果の内容・特徴

  • 自脱型コンバインを供試して音響インテンシティを計測した結果、エンジン、刈取部、脱穀部、搬送部チェーンが主音源であり、音響インテンシティ法により騒音を可視化することで、オペレータの被曝騒音の種別(直接音、回折音、透過音、反射音など)が分析でき、対策の焦点を絞ることができる。(図1)
  • 2台の自脱型コンバインを用いて、音響インテンシティ法により騒音測定を行った結果、開発年次による音響特性に違いはなく、遮音板を座席と搬送チェーンの間に設置することで、被曝騒音を低減できる可能性がある。
  • エンジンや作業部分からオペレータへの騒音は遮音板を設け、その形状等を工夫することで減少が期待できる。(図2)
  • 音響インテンシティ法を用いた音響可視化及び騒音低減対策は自脱型コンバインのみでなく、全ての農業機械に適用可能であり、音を可視化するにことよって有効な低減対策を見いだせ、従来の手法と比較して効率的な騒音対策が可能である。

成果の活用面・留意点

音響インテンシティ法による騒音低減対策は、オペレータへの被曝騒音低減と共に、補助者あるいは環境騒音の面からも活用できる。エンジン等からの騒音に対 しては遮音板等の設置により、音響の反射、吸収、回折、透過など被曝騒音の低減が期待できるが、騒音源自体への積極的な低騒音化対策も必要である。

具体的データ

図1 コンバインの音源と騒音の流れ

 

図2 遮音板による騒音低減効果

その他

  • 研究課題名:農業機械騒音の可視化による低減化技術
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)
  • 研究期間:1999~2002年度
  • 研究担当者:鈴木光雄、石川文武、菊池 豊、東京農工大学・農学部