生物脱臭方式の畜舎換気用除じん・脱臭装置

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要約

無窓子豚舎などの閉鎖型畜舎の換気扇から排出される空気中の粉じんを除去するとともに、ヤシガラチップ混合物による生物脱臭槽により臭気成分を分解・除去できる装置。閉鎖型畜舎の排出空気中の粉じん、アンモニアをほぼ完全に除去できる。

  • キーワード:閉鎖型畜舎、無窓畜舎、除じん、生物脱臭、ヤシガラチップ、粉じん、悪臭
  • 担当:生研機構・畜産工学研究部・飼養管理工学研究
  • 連絡先:048-654-7098
  • 区分:共通基盤・作業技術、畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

畜産経営に起因する苦情は、発生件数の6割以上を悪臭が占めている。悪臭の発生源の一つである畜舎から排出された粉じん、臭気物質を含む空気に対する効果的な対策技術は実用化されていない。そこで、普及が進みつつある無窓子豚舎などの閉鎖型畜舎を対象として、畜舎の換気扇から排出される空気に含まれる粉じん、臭気成分を低減できる低コストな装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 生物脱臭方式の畜舎換気用除じん・脱臭装置は、送風部、除じん部、生物脱臭槽等から構成される(図1)(図2)。
  • 畜舎から排出された空気は、水洗による簡易な構造の除じん部で粉じんを除去され、送風部を介して生物脱臭槽へ送入される。アンモニア等の臭気成分は、生物脱臭槽のヤシガラチップ混合物内の微生物により分解・除去される。生物脱臭槽の処理能力は6.0m3/min/m2(生物脱臭槽内の空気の見掛け風速100mm/s)以下である。
  • 除じん部で使用する水は、蒸発による持出し分の清水を補給する方式であり、排水は生じない。除じん部内に取込んだ粉じんは、沈殿により濃縮して排出する。
  • 生物脱臭槽で使用する水は、蒸発及び蒸散による持出し分の清水を補給する方式であり、排水は生じない。 
  • 閉鎖型畜舎から排出される空気に含まれる粉じんをほぼ完全に除去することができる(図3)。
  • 閉鎖型畜舎から排出される空気に含まれるアンモニアをほぼ完全に分解・除去することができる(図3)。
  • 細霧吸着方式と比較して設置面積は大きいが、安価である。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業を経て、平成15年度内に市販化の予定である。
  • 無窓豚舎などの閉鎖型畜舎を対象とする。

具体的データ

図1装置の概要データ2

図3脱臭性能測定例

その他

  • 研究課題名:畜舎換気用除じん・脱臭装置の開発
  • 予算区分:経常・21緊プロ
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:道宗直昭、原田泰弘、根津昌樹、福森功、古山隆司、名川稔、松下エコシステムズ(株)
  • 発表論文等:1)特許出願中(特願2002-352309)