土壌サンプル粉砕篩分け装置

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要約

土壌分析用の風乾土壌を一対の6角ローラと振動篩(目開き1mm又は2mm)で粉砕・篩分けする装置であり、バッチ式と連続式がある。粉砕ローラは礫を逃がす構造となっており、作業能率は慣行人力作業の約2~4倍である。

  • キーワード:土壌分析、サンプル、粉砕、篩分け、精密農業
  • 担当:生研センター・基礎技術研究部・資源環境工学研究
  • 連絡先:電話 048-654-7056、電子メール takagoto@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

土壌分析作業は、採土、風乾、粉砕・篩分け、秤量、抽出、分析の各工程を経て行われる。このうち、粉砕・篩分け作業は人力 で行われることが多く、大量に分析を行う場合の高能率化と労働負担の軽減、土埃の多い作業環境の改善が求められている。そこで、風乾した土壌の粉砕・篩分 けを行う装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 土壌分析用の風乾土壌を、一対の6角柱からなる粉砕ローラと振動篩(目開き1mm又は2mm)で粉砕・篩分けを行う装置である。篩上の土壌を人力で粉砕ローラへ供給するバッチ式(図1)と、ボウル式振動フィーダで自動供給する連続式(図2)がある。
  • 6角柱の粉砕ローラを採用しているため、土塊をローラ間に掻込む作用が優れており、左右ローラの位相を30 ゚ずらして取付けている(図3)ため、振動が少ない。
  • 粉砕ローラは、駆動歯車軸を中心に揺動するアームに取付けられ、バネで内側へ押付けられている(図3左)ため、礫が混入していても粉砕せずに逃がす。
  • 乳鉢・乳棒及び篩による慣行人力作業に比べ、ほこりの発生が少ないこと、さらに連続式では作業者が常時装置の側にいなくてよいことから、作業環境が改善される。また、腕が疲れる単調な作業から開放され、労働負担を軽減できる。
  • 連続式では、目標量の土壌が篩分けられると粉砕・篩分作業を停止し、残土を自動排出する構造となっており、作業者は他の付帯作業を併行して行うことができる。
  • 350gの土壌を投入し、分析に十分な量である200g程度の土壌を篩分けるのに要する作業時間(清掃時間を含む)は、2mm篩使用時で1.5~2分、1mm篩使用時で2~3分程度であり(表)、作業能率は慣行人力作業の2~4倍(土壌により異なる)である。

成果の活用面・留意点

  • 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化が予定されている。
  • 土塊径約2cm未満の風乾土壌を投入する。

具体的データ

図1 バッチ式土壌サンプル粉砕篩分装置

 

図2 連続式土壌サンプル粉砕篩分装置

 

図3 粉砕ローラの構造(左)と動き(右)

 

表 作業能率試験の条件と結果(各2~3種類の土壌の平均値)

 

その他

  • 研究課題名:土壌サンプリング装置の開発、土壌サンプル粉砕篩分装置の開発促進評価試験
  • 課題ID:21-04-05-01-11-03
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)・次世代緊プロ(評価)
  • 研究期間:1998~2003年度
  • 研究担当者:後藤隆志、手島 司、市来秀之、清水一史、小倉昭男、津賀幸之介、鷹尾宏之進、富士平工業(株)、(株)日立製作所、(株)日立ハイテクノロジーズ
  • 発表論文等:鷹尾ら(2002)「土壌調製装置」(特開2002-267582)