肥料等の管路内流量を測定する静電容量式粒状物流量センサ
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要約
穀粒、肥料などの管路内を流れる粒状物の流量を、高精度に測定できる静電容量式の粒状物流量センサである。既知量の肥料等による簡易な検量線作成機能を有し、小型軽量で、施肥機等農業機械に装着することができる。
- キーワード:流量、計測、肥料、静電容量、粒状物
- 担当:生研センター・生産システム研究部・大規模機械化システム研
- 連絡先:電話 048-654-7070、電子メール khaya4@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
播種機や施肥機など、穀粒や肥料など粒状物を繰出す機械は、それぞれの繰出装置の特性に応じた予備調整後に作業を行うが、
作業中の流量を確認することができないことから、予備調整不足や粒状物のつまり等に起因するトラブルに対応できない。そのため、想定した播種量や施肥量を
確保できず、その後の生育等に大きな影響を与える場合がある。そこで、上記農業機械等の管路内を流れる肥料など粒状物の流量を高精度に測定することを目的
に、静電容量式センサをベースに粒状物流量センサを開発した。
成果の内容・特徴
- 静電容量式の基準電極、同測定電極からなる電極部、電極信号を処理する増幅部、表示・操作・演算を行う表示部で構成された粒
状物流量センサである。基準電極と測定電極は同一仕様で、測定電極を搬送管路に設置し、基準電極は測定電極と温度や湿度条件が同じ任意の場所に取り付け
る。簡易な検量線作成機能及び検量線のデータベース機能等を有する(図1)。
- 電極は、外径60mm、内径25mm、長さ150mm、質量480gと小型軽量であり、防水性も備えていることから田植機等の小型農業機械にも簡単に装着できる(図1、図3)。
- 表示部には、車速入力用のパルスカウンタ及びRS-232Cポートが装備され、各種農業機械への装着、外部コンピュータとの接続が可能である。
- 流速一定条件では、繰出量とセンサ測定値にr=0.99以上の高い相関が得られ、測定誤差も概ね2%以下で精度の高い測定が可能である(図2)。
- 既知量の粒状物を予備的に繰り出すことにより、表示部に内蔵されたマイコンで電極の出力を演算し検量線を自動的に作成するこ
とができる。また、低流量域と高流量域で異なる検量線を用いることにより、流速が変化する条件にも対応できる。これらの検量線は表示部のマイコンにデータ
ベースとして記憶することができる。
- 側条施肥装置付き田植機に流量センサを取り付けることにより、36g/s(作業速度1m/s時:約120kg/10a)まで
の作業中の施肥量を常時確認できる。また、肥料の未繰出し時に電極出力の原点較正を自動的に行うことにより、搬送管路内壁面への粒状物の付着によるセンサ
測定値の変動を補正し、連続作業においても安定した測定が可能である(表)。
成果の活用面・留意点
- 汎用的な粒状物流量センサとして、播種機・施肥機等農業機械、精米工場などの穀物プラント、肥料製造プラントに取り付け、繰出し制御等に利用するセンサ技術として活用できる。
- 高湿度条件においては、測定値が変動する場合がある。
- 機器の低価格化が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:粒状資材等のモニタリング技術の開発
- 課題ID:21-01-02-*-*-02
- 予算区分:経常・緊プロ(共同)
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:林 和信、西村洋、市川友彦、(株)インステック