連続収納式土壌サンプリング装置

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要約

土壌採取位置をGPSで記録しながら、スクリュとシリンダを土中に貫入させて深さ15cm又は20cm程度までの土を採取し、カップ内に自動収納する装置である。採取量の変動の少ない安定した採土を、トラクタから降車せずに連続して行うことができる。

  • キーワード:土壌、サンプリング、土壌分析、精密農業
  • 担当:生研センター・基礎技術研究部・資源環境工学研究
  • 連絡先:電話 048-654-7056、電子メール takagoto@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

土壌分析結果をもとに可変施肥を行う場合は、多数のサンプル土壌の採取、採取位置の記録及び採取した土壌のハンドリングの 省力化が必要となる。そこで、数多くの土壌サンプルをほ場内で採取するとともにカップに収納し、同時にその採取位置情報を記録することのできる装置を開発 する。

成果の内容・特徴

  • 回転するスクリュを土中に貫入させた後、同軸のシリンダを挿入して土壌を採取し、トレイ上にセットされた15個のカップ内に自動収納するとともに、採取位置情報をビーコンDGPSで記録する乗用トラクタ直装式の土壌サンプリング装置である(図1、図2)。採取深さは15cm又は20cm程度、採取土壌の容積は70~120cm3程度であり、1回分を1カップへ収納するモードと2回分を1カップに収納するモードがある。
  • スクリュにより採取する方式であるため、乾燥した砂質土壌のような流動性の高い土でも採取でき、土壌条件によらず採取土量の変動が少ない(変動係数15%以下)採取が可能である(表)。
  • 土壌の採取とカップへの収納を自動的に行うため、作業者はトラクタから降車せずに15箇所まで採取することができ、多点採取時の労働負担が軽減される。また、採取土壌のハンドリングを楽に行うことができる。
  • 1回当たりの土壌採取時間は15~20秒、カップへの土壌収納時間は約30秒(次の採取地点への移動中に収納を行うことができる。)であり、10m間隔で採取を行う場合には、毎時約50箇所の採取が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 数多くの土壌採取が必要な場合のサンプリング装置として活用できる。
  • 礫が多いほ場では使用できない。適用トラクタは、15kW級以上である。

具体的データ

図1 土壌サンプリング装置(左)とその採取部(右)

 

図2 採取・収納動作の流れ

 

表 ほ場試験の条件と結果(各々2~6ほ場の平均値)

 

その他

  • 研究課題名:土壌サンプリング装置の開発
  • 課題ID:21-04-05-*-*-02
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:後藤隆志、手島 司、市来秀之、清水一史、津賀幸之介、鷹尾宏之進、ヤンマー農機(株)、八鹿鉄工(株)