電極センサ式土壌簡易分析装置

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

カップに入れた生土に抽出試液を加えてかく拌し、上澄み液を吸引して硝酸態窒素、カリウム、pH、ECの測定を電極センサで行う装置である。1回の測定を約20分で行うことができ、慣行分析との相関係数は、0.87~0.96程度である。

  • キーワード:土壌分析、簡易分析、硝酸態窒素、カリウム、pH、EC、精密農業
  • 担当:生研センター・基礎技術研究部・資源環境工学研究
  • 連絡先:電話 048-654-7056、電子メール takagoto@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

慣行の土壌分析作業では、採取した土壌を風乾した後、粉砕・篩分け、抽出の工程を経てから分析を行う。そのため、土壌の採 取から分析までに1週間以上かかるのが一般的で、追肥のための土壌診断など、迅速な分析が必要となる場合への対応が問題となっている。そこで、生土を供試 し、短時間で簡易分析が可能な装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • カップに入れた生土50gに抽出試液280mlを加えてかく拌し、土粒子を沈殿させた後に上澄み液を吸引して、硝酸イオン、 カリウムイオン、pH、EC、塩素イオン(硝酸態窒素測定の補正用)の濃度を水質測定用の電極センサで検出し、硝酸態窒素、カリウム、pH、ECの測定を 同時に行う装置である(図1)。抽出試液には、純水に支持塩として硫酸アンモニウムを0.003mol/l添加したものを使用している。
  • 1サンプル当たりの測定を、約20分で行うことができる。
  • 抽出試液の注入、かく拌、上澄み液の吸引、測定、洗浄の各工程は、すべて自動化されており、作業者はサンプル土壌の混合・秤量などの付帯作業を併行して行うことができる。
  • 30箇所から採取した土壌(表)を、3段階に水分調製(風乾処理、無処理、純水加水処理)した試験での慣行分析値との相関係数は、硝酸態窒素が0.96、カリウムが0.87、pHが0.95、ECが0.87であり(図2)、現場における3段階(「低い」「適正」「高い」など)程度の診断に利用可能な精度を有している。

成果の活用面・留意点

  • 迅速な土壌分析が必要な場合の簡易分析装置として活用できる。
  • 通常の測定では、1ほ場の対角線上の5箇所から採取した作土を混合し、50g秤量して供試することが望ましい。

具体的データ

図1 土壌簡易分析装置

 

表 供試土壌

 

図2 測定精度(慣行測定値との相関)

 

その他

  • 研究課題名:土壌サンプリング装置の開発
  • 課題ID:21-04-05-*-*-02
  • 予算区分:経常・21緊プロ(委託)
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:後藤隆志、手島 司、市来秀之、清水一史、津賀幸之介、鷹尾宏之進、(株)堀場製作所、(株)コス