シミュレーションによる自脱型コンバインのほ場作業量算出方法

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要約

自脱型コンバインのほ場作業量を作業精度試験の測定結果、作物条件、ほ場条件及び機械条件を入力項目とし、作業シミュレーション技術を用いて算出する方法である。

  • キーワード:型式検査、自脱型コンバイン、ほ場作業量、シミュレーション、イネ
  • 担当:生研センター・評価試験部・作業機第2試験室
  • 連絡先:電話048-654-7108、電子メールmtomita@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:行政・普及

背景・ねらい

自脱型コンバイン型式検査におけるほ場作業量の測定は、一定面積のほ場試験によって行われているが、供試機の運転条件や作業方法等が依頼者の任意であること、供試ほ場の形状や作業方法等によってほ場作業量が影響され、一般性のある結果を得難いこと及び測定に係る労力を必要とすることから、本試験の簡素化等試験方法の改善が求められている。そこで、ほ場作業量を、構造調査(機械各部の諸元調査)及び作業精度試験から得られるデータにより、シミュレーション技術を用いて算出する方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本算出方法は、ほ場作業量を、作業精度試験結果から与えられる作業速度、ほ場寸法、手刈面積等のほ場条件、収量、穀粒含水率等の作物条件及び各部寸法、最小旋回半径等の機械条件を入力項目(表1)とし、作業シミュレーションにより所要時間を求めることで、算出する。
  • 本算出方法で用いるシミュレーションモデルは、自脱型コンバイン収穫作業を、要素作業に分解してモデル化し、作業方法(図1)に従って足し合わせたものである。作業方法の手順及び分岐条件は型式検査の作業能率試験を分析した結果に基づいている。

  • 各要素作業のモデルにおいて、作業時間は、ほ場寸法及び機械条件に基づき幾何学的にモデル化された理論作業軌跡の長さを作業速度または移動速度で除した時間に、発進加速に伴う遅延を加算して求める。
  • 型式検査実施ほ場の平均的な条件(品種:朝の光、倒伏:無、15%換算もみ収量6700kg/ha、穀粒含水率20%、かさ密度:0.6kg/L、乾田、ほ場寸法:実測値(面積20a~46a、長辺長さ70~80m)、手刈面積:(車体長)×1.2(m)×3(ヶ所)、作業速度:実測値)において3条刈~6条刈の型式検査受検機のほ場作業量を算出した場合、実測値(試験地:埼玉県吹上町、品種:朝の光、倒伏:無、15%換算概略もみ収量:5900~6800kg/ha、穀粒水分18.2%~29.8%)との差は概ね10%以下であり、実用上十分な精度を有している(表2・図2)。

成果の活用面・留意点

  • 平成17年度より、「コンバイン(自脱型)の型式検査の主要な実施方法及び基準」の作業能率試験の方法として用いられる。
  • あらかじめ作業精度試験を実施し作業速度を求めるとともに、作物条件(含水率15%換算収量、刈取作業時の収量、平均穀粒含水率、籾のかさ密度など)、ほ場条件(ほ場面積、長辺長さ、幅、手刈面積など)、機械条件(条数、刈幅、履帯接地長、機体全長、最小旋回半径、タンク容量、排出オーガ流量、作業方法など)を調査しておくことが必要である。

具体的データ

表1 ほ場作業量算出に用いる入力項目 図1 シミュレーションにおける作業方法

 

表2 型式検査受検機における実測値と計算値の 比較 図2 ほ場作業量の計算値と実測値の比較

その他

  • 研究課題名:圃場作業機械における能率試験の改善に関する研究
  • 課題ID:21-05-04-01-01-04
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:2002~2004年度
  • 研究担当者:冨田宗樹、落合良治、澤村宣志