キュウリ摘葉摘心装置

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要約

キュウリ摘葉摘心装置は、栽植状態の葉や側枝に先端を近づけると、ブラシと切断刃で葉や側枝を掻き込んで細断し、吸引により収容部へ搬送・収容する装置である。慣行手作業より4~8割作業能率が向上する。

  • キーワード:キュウリ、摘葉、摘心、ブラシ、吸引
  • 担当:生研センター・園芸工学研究部・施設園芸生産工学研究
  • 連絡先:電話048-654-7041、電子メールtoota@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

キュウリの摘葉摘心作業はハウス内の高温多湿の条件下で行われ、全て手作業である。摘葉摘心作業は葉柄や側枝の切断、バケツ等収容器への詰め込み、収容器の搬出を伴い、長時間を要し、単調な作業である。特につる下ろし栽培では摘葉位置が株元付近であるので作業姿勢が悪い。そこで、葉や側枝の掻き込み、収容部への搬送を行うキュウリ摘葉摘心装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 摘葉摘心装置は先端を葉や側枝に近づけて挿入するだけで収容部への詰め込みを行う装置であり、摘葉部、搬送部、吸引・収容部から構成されている(図1)。モータが摘葉部と分離した構造のモータ分離型とモータ一体型がある。摘葉部はワイヤブラシと切断刃を取り付けた回転ローラ等から構成され、葉や側枝の掻き込みと細断を行う(図2)。掻き込んだ葉の収容部への搬送は吸引により行う。
  • 吸引・収容部を手押し台車等に積載し、搬送ホースの先の摘葉部を葉や側枝に近づける。摘葉摘心と収容部への葉や側枝の収容が可能であり、慣行作業での葉柄や側枝の切断作業、収容器への詰め込み作業を省略できる。また、立ち姿勢で株元付近の葉や側枝を摘葉摘心できる。
  • 収容後の葉の容積は50枚当たり3.1~3.7Lであり、手作業(15L)の約1/5となり、摘葉して回収した葉の運搬量を少なくすることが可能である。
  • 摘葉成功率(葉の摘み取りに成功した葉数割合)は葉身長188~206mmの場合、100%である(表1)。落下率(葉の一部が地面に落下した葉数割合)は8~16%であるが、その量は元の葉の約1/10以下である。摘心成功率(側枝の摘み取りに成功した本数割合)は側枝長246~277mm程度の場合、100%である(表2)。落下率(側枝の一部が地面に落下した本数割合)は4~8%である。

  • つる下ろし栽培での摘葉作業能率は1,370~1,700枚/hであり、手作業(940~980枚/h)と比べ、4~8割向上する。

成果の活用面・留意点

  • 実用化する場合には耐久性、取扱性、病害への影響等を検討する必要がある。
  • 主枝、誘引ひも等を掻き込まないよう注意する必要がある。

具体的データ

図1 キュウリ摘葉摘心装置 図2 摘葉部

 

表1 摘葉精度

 

表2 摘心精度

その他

  • 研究課題名:果菜類の管理作業の省力化に関する研究-摘葉・摘心機構の開発
  • 課題ID:21-02-01-01-01-04
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:2002~2004年度
  • 研究担当者:太田智彦、林茂彦、久保田興太郎、安食惠治、清水秀夫、中根幸一