湿材適応性を向上させたコンバインの揺動選別部

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要約

撥水加工を施すことにより湿材(朝露や夜露等の影響を受けた水稲)収穫時における選別精度を向上させることができるコンバインの揺動選別部

  • キーワード:コンバイン、揺動選別部、撥水加工、湿材
  • 担当:生研センター・生産システム研究部・収穫システム研究
  • 連絡先:電話048-654-7077、電子メールekurihar@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

収穫作業のより一層の低コスト化、収穫物の高品質化を図るためには、コンバインの収穫可能な条件の拡大、即ちコンバインの収穫作業時間帯の拡大が必要である。そこで、湿材(朝露や夜露等の影響を受けた水稲)に対する適応性の高い、撥水加工を施した揺動選別部を開発する。

成果の内容・特徴

  • コンバインの揺動選別部に撥水加工(フッ化樹脂コート)を施すことを特徴とする(図1)。
  • 撥水加工を施した揺動選別部を用いて、湿材(朝露や夜露等の影響を受けた水稲)を収穫した場合、揺動選別部の各部位にチャフ(被選別物)が付着しにくくなり、グレンパン上での滞留やチャフシーブにおける目詰まりの発生が減少する(図2)。そのため、従来のものと比較して排塵口損失が大幅に減少し、選別精度が向上する(図3)。
  • めっきの耐摩耗性試験(JIS H8503)のうち、砂落とし摩耗試験およびテーバ式摩耗試験を行った結果、フッ化樹脂コートの工業的な耐摩耗性は高いことが認められた。

成果の活用面・留意点

  • 今後、市販の自脱コンバインの選別部として実用化する予定である。
  • 収穫作業時間帯の拡大により、収穫作業のより一層の低コスト化が図られるとともに、収穫適期を逃さない作業が可能となり、収穫物の高品質化に寄与できる。
  • 選別状態が同じであることから、水稲だけでなく高水分麦の収穫にも利用できる。
  • わら水分が75%を超えるような過度に高い水分の水稲を収穫しないよう留意する必要がある。

具体的データ

図1 撥水加工(フッ化樹脂コート)を施した揺動選別部

 

図2 揺動選別部における被選別物の付着状況

 

図3 撥水加工を施した揺動選別部の性能

 

その他

  • 研究課題名:コンバインにおける湿材適応性拡大に関する研究
  • 課題ID:21-01-05-01-01-05
  • 予算区分:経常・所内特研(一般)
  • 研究期間:2002∼2006年度
  • 研究担当者:栗原英治、日高靖之、澁谷幸憲、杉山隆夫、内間亜希子