トラクタの操舵力・操作力の測定方法

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要約

欧州指令に基づくパワステアリング非作動時のハンドル操舵力測定についてけん引桿と供試機中心軸が常に同一直線上となるようなけん引方法を用い、同じくレバー類操作力測定について開発したアタッチメントを用いると、精度良く効率的に測定が可能である。

  • キーワード:型式検査、欧州指令、操舵力、操作力、乗用トラクタ
  • 担当:生研センター・評価試験部・原動機第1試験室、原動機第2試験室、安全試験室
  • 連絡先:電話048-654-7102、電子メールeseki@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:行政・普及

背景・ねらい

欧州指令75/321/EEC(98/39/EC)及び80/720/EEC(97/54/EC)に基づくハンドル操舵力及びレ バー類操作力について、精度良く効率的に測定する方法を確立する。操舵力は、欧州指令では、パワステアリング作動時・非作動時の、直進走行から半径12m 円周上走行まで操舵した際の最大操舵力を測定する。後者についての具体的な試験方法は明記されていないが、一般には機関停止・被けん引での測定が認められ ている。このとき、操舵時のけん引方向が測定結果に影響する可能性があるため、最も簡易な試験方法(けん引車と供試機が同じ軌道上を走行)に比較してより 適切なけん引車の軌道を考案する。操作力は、欧州指令では周囲の空間に応じて許容値が定められているが、近年は握り部形状が多様化し、現状のプッシュプル ゲージのアタッチメントでは測定しにくいものがあるため、これらに対応して効率的に測定が可能なアタッチメントを検討する。

成果の内容・特徴

  • 当該操舵力測定方法は、(1)欧州指令の要件を満たすような供試機の走行軌道を決める、(2)供試機・けん引車の各 部寸法と(1)の軌道から、けん引桿と供試機中心軸が常に同一直線上で、かつ供試機走行速度が全試験行程において10±0.5km/hとなるようにけん引 車の走行軌道及びけん引桿長を決める、(3)供試機およびけん引車は、それぞれの軌道上を目視しながら運転し、供試機に装着した市販の操舵力角計で最大操 舵力の測定を行う、というものである(図1)。
  • パワステアリング非装備機を用いて、本方法による測定と自走での測定を行ったところ、両者はほぼ同じ結果を示してお り、本方法は適当な精度を有している。また、パワステアリング装備機でけん引車の軌道を変えて測定したところ、最も簡易な試験方法(けん引車と供試機が同 じ軌道上を走行)までオフセットすると最大操舵力は大きく異なることが示され、本方法の有効性が認められる(図2)。
  • 当該操作力測定用アタッチメント(図3)は、現状のプッシュプルゲージのプッシュ側・プル側の各アタッチメント(金具)に換え、作用部にフレキシビリティを持たせて作用面に滑り止めを施したものである。
  • 本アタッチメントにより、多様な形状のレバー握り部の位置・方向(図4)に対応して適切な測定を効率的に行うことが可能である。

成果の活用面・留意点

  • 農林水産省の実施する農機具型式検査における取扱試験及び各種鑑定に用いる。
  • 欧州指令に基づく各評価試験の方法として用いる。
  • 当該操舵力測定方法は、前輪駆動解除可能・被けん引可能なものにのみ適用する。

具体的データ

図1 パワステアリング非作動時操舵力試験用に検討された供試機及びけん引車の走行軌道(黒線及び灰線)

 

図2 操舵力試験測定結果

 

図3 操作力測定用試作アタッチメント> 図4 適切な位置・方向で操作力を測定しにくいレバーの例

 

その他

  • 研究課題名:欧州指令に基づく試験実施要領の確立
  • 課題ID:21-05-01-01-02-05
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:2004∼2005年度
  • 研究担当者:積 栄、高橋弘行、杉浦泰郎、清水一史、高橋正光、塚本茂善、水上智道