ブロードキャスタの施肥量制御装置

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要約

単位面積当たりの施肥量と肥料の流動性に関わる指標値を入力するだけの簡易な設定及びGPS受信機から得られる速度情報に基づき、車速に連動した施肥量の制御を自動的に行う、ブロードキャスタ用の施肥量制御装置。

  • キーワード:ブロードキャスタ、車速連動、GPS、シャッタ開度
  • 担当:生研センター・生産システム研究部・大規模機械化システム研究、土壌管理システム研究
  • 連絡先:電話048-654-7070、電子メールkhaya4@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ブロードキャスタは、構造が簡素で低価格であることや、高い作業能率を有することなどから、水稲作、畑作等において広く利用されて いる。しかし、肥料ホッパ底部に設けられたシャッタの開度を調節する単純な施肥量の調節機構を採用しているため、肥料の物性の違いによってシャッタ開度と 繰出量の関係が変化する問題がある。また、作業速度に連動した施肥量の調整が行われないことから、正確な施肥量で作業を行うためには一定の作業速度を維持 する必要があるが、多様なほ場条件下で作業速度を一定に保つことは困難である。そこで、ブロードキャスタの簡素な構造のメリットを活かしつつ、肥料物性に よらず、車速に連動し正確な施肥を行うことのできる施肥量制御装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 作業者が入力する、肥料の流動性を示す指標値、設定散布幅及び単位面積当たりの設定施肥量に加えて、装置に搭載する GPS受信機から得られる速度情報を用いて演算を行うことによりブロードキャスタのシャッタ開度を決定し、電動アクチュエータによってシャッタ開度を制御 する制御装置である(図1)。
  • Ø35mmの開口部を持つ漏斗から肥料を流下させた際の流量(FR値)は、ブロードキャスタの繰出量と高い相関があり(図2)、肥料の流動性を示す指標値として制御に用いることにより、現行作業で一般的な早見表によるシャッタ開度の設定とその後の繰出量に応じた微調整を繰返す作業が不要となり、迅速で正確な施肥量の設定が可能となる(図3)。
  • GPS受信機から得られる速度情報をシャッタ開度の制御に利用することにより、任意の作業速度で±10%以内の施肥量精度を得ることができる(図4)。また、GPSの速度情報を利用するため、スリップ率の変化の影響を受けずに制御を行うことができる。
  • 速度情報のみを利用するため、比較的廉価で小型のGPS受信機でも利用することができる。また、トラクタ側に作業速度を検出する機構を設ける必要がなく、開発装置を搭載したブロードキャスタを幅広い機種のトラクタに適用することが可能である。

成果の活用面・留意点

  • 本装置の利用により、精度の高い肥料散布作業を従来の作業能率を維持しつつ行うことができるとともに、調量時間を短縮できるため、作業受託など多様な肥料種を扱う施肥作業の能率向上に寄与できる。
  • 開発した制御装置は粒状化学肥料のみに対応する。また、事前に肥料のFR値を測定する必要がある。
  • GPS受信機の速度情報は、作業を行う作業速度の全域で出力される必要があり、精度は約0.1m/s(RMS)以上であることが望ましい。

具体的データ

図1 開発した制御装置の構成

 

図2 FR値とブロードキャスタの繰出量の関係

 

図3 設定施肥量と施肥量の関係

 

図4 走行速度と施肥量の関係

 

説明

 

その他

  • 研究課題名:高機能施肥機の開発
  • 課題ID:21-01-02-01-02-05
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:2003∼2005年度
  • 研究担当者:林 和信、西村 洋、堀尾光広、紺屋秀之、内間亜希子、杉山 隆夫
  • 発表論文等:特開2005-229887