ピアノ線によるキャベツの茎切断装置
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要約
ピアノ線によるキャベツの茎切断装置は、除去したい外葉と結球部の間にピアノ線を挿入することで、適正な位置での茎切断が簡便に行える。切断精度は、画処理技術を利用した調製装置と同等であり、本装置は収穫機や調製装置へ応用が可能である。
- キーワード:ピアノ線、キャベツ、収穫機、調製装置、茎切断、高精度、簡便
- 担当:生研センター・園芸工学研究部・園芸調製貯蔵工学研究
- 連絡先:電話048-654-7089、電子メールsomori@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
キャベツの不要な根・茎・外葉の除去は、除去したい外葉と結球部の間に包丁を差し込み茎を切断して行われ、結球部を傷付けないで適
正に切断するには熟練を要する。また、これまでに開発された収穫機や調製装置の茎切断にはナイフや円盤刃が利用され、適正な位置で茎を切断するには位置検
出や位置決め及び姿勢制御等が必要となる。そのため、切断装置が複雑化し大型になる傾向にある。そこで、適正な位置で簡便に茎を切断できる装置を開発する。
成果の内容・特徴
- 本装置の構成は、挟持チェンでキャベツを搬送する搬送部、搬送中のキャベツを検知する検出部、適正な位置にピアノ線を挿入し切断する切断部(分離バー・案内ガイド・直径0.8mmのピアノ線で構成)、切断時に結球部が傾かないようにする姿勢アシスト部からなる(図1)。
- 本装置によるキャベツの茎切断は、切断部の分離バーを除去する外葉と結球部の間に差し込むだけで適正に行える。具体
的には、一定速度で搬送中のキャベツを検知した後、切断部を降下させるタイミングに達した時、切断部を下降させて分離バーを外葉と結球部の間に差し込む。
分離バーは、案内ガイドとピアノ線を切断すべき茎の位置に導き、ピアノ線により切断が行われる。また、茎を切断する際に、キャベツが傾かないように後方か
ら姿勢アシストローラで支える(図2)。
- 切断部のピアノ線は、分離バーと案内ガイドにより除去する外葉と結球部の間に挿入されると、外葉と結球部の間に沿って茎まで到達する(図3)。
この到達した茎の位置が慣行の包丁で切断する位置にあたることから、ピアノ線による茎切断は、特別な位置決め等をすることなく適正な位置で可能である。ま
た、ピアノ線の両端にピアノ線直径より太い案内ガイドを配置することで、ピアノ線が茎に到達する前に結球部を損傷することを防止する。
- 本装置は搬送速度が15cm/sの時に、約5秒に1個の切断が可能である。また、切断精度は、青果用出荷基準である外葉を1∼3枚残しに切断できる割合が約90%であり(図4)、画像処理技術を利用した調製装置による切断(94%)と同等である。
成果の活用面・留意点
- 本装置のピアノ線を利用した茎切断機構は、キャベツの調製装置や収穫機における茎切断に応用することが可能である。
- キャベツの調製機や収穫機等への利用に際しては、ピアノ線の耐久性を確認する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:野菜高精度切断のための新機構の開発
- 課題ID:21-02-03-01-03-05
- 予算区分:経常
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:大森定夫、紺屋朋子