幅広い散布量に対応できる乗用管理機搭載式散粒機

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要約

複数の繰出ロールの一部をワンウェイクラッチを介して駆動し、ロール駆動軸の回転方向の切り替えと回転数の変更を組合わせることより、少量から多量までの幅広い散布量に対応できる、散布幅10m及び15m用の乗用管理機搭載式散粒機。

  • キーワード:施肥、流量、散布量、繰出量、DCモータ駆動、可変施肥
  • 担当:生研センター・生産システム研究部・大規模機械化システム研究、土壌管理システム研究
  • 連絡先:電話 048-654-7070、電子メール info-iam_seisanbu@ml.affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

繰出ロールをDCモータで駆動して施用量を調整する繰出方式は、機械的な変速機構に比して制御が容易である等の利点を持つ。一方、実際の散布作業においては、低速で行う少量の施肥作業から高速で行う多量の施肥作業までに対応させるために、繰出量を広い範囲で変更する必要があるが、DCモータの制御可能な回転数範囲が限られているため、資材ホッパに設けられたシャッタ等を手動で操作し、モータ一回転当たりの繰出量を変更して対応する必要があった。
そこで、幅広い資材の流量に応じてモータ一回転当たりの繰出量を自動的に変更することのできる繰出部を持つ乗用管理機搭載式の散粒機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 資材ホッパ、左右個別に繰出しと停止を設定できる繰出装置、10m及び15mに対応する搬送管(ブーム)、乗用管理機PTOで駆動する送風機および可変施肥機能を有する制御装置等から構成され、繰出ロールの一部をワンウェイクラッチを介して駆動することにより、少量から多量までの幅広い散布量に対応できる、乗用管理機搭載式散粒機である(図1)。
  • 各繰出装置は、断面形状が同一で長さの異なる(26、40、54mm)繰出ロールを3個備え、そのうち54と40mmの繰出ロールにはワンウェイクラッチが組込まれているため、駆動軸の回転方向を切替えると駆動されるロールの有効長が26mmから120mmに切り替わり、駆動軸1回転当たりの繰出量を約4.6倍に増加させることが可能である(図2)。
  • 駆動軸の回転方向の切替えと回転数の変更は、資材の流量に応じて制御装置が自動的に行うため、散布量設定の操作を行うだけで0.6~29.8kg/minの繰出量に相当する幅広い散布量範囲において高い精度が得られる(図3)。
  • 資材のかさ密度と散布量の入力による簡単な機械設定、増減ボタンの操作による作業中の施肥量変更、累積施肥量表示等が行える可変施肥装置を搭載している。

成果の活用面・留意点

  • 平成19年度からの市販化を予定しており、水田作、畑作における施肥作業、粒剤散布作業に活用できる。
  • 設定した施肥量に対して走行速度が早いなど、ロールの回転数が制御範囲を超えた場合は警報ブザーが鳴るので、作業速度を落として作業を行う等で対応する必要がある。

具体的データ

図1 散粒機の外観と操作盤(運転席右側に設置)表 主な仕様

図2 繰出部の概略構造と正逆転時の動作図3 設定繰出量と実繰出量の関係

その他

  • 研究課題名:IT、ロボット技術等を活用した革新的な農業機械・装置等の開発
  • 課題ID:800-e
  • 予算区分:経常・次世代緊プロ(評価)
  • 研究期間:2003~2006年度
  • 研究担当者:西村洋、林和信、堀尾光広、紺屋秀之、杉山隆夫、内間亜希子、井関農機(株)、(有)東製作所