ほ場一筆毎の水分測定に適した稲麦用収量コンバインの単粒水分計

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要約

稲麦用収量コンバインに装着することにより、ほ場内の穀物を均一にサンプリングするとともに、ほ場一筆毎の水分を高精度に測定できるようにした単粒水分計である。

  • キーワード:稲麦用収量コンバイン、単粒水分計、ほ場一筆測定
  • 担当:生研センター・生産システム研究部・収穫システム研究、大規模機械化システム研究
  • 連絡先:電話048-654-7077、電子メールinfo-iam_seisanbu@ml.affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

適正な施肥設計と環境負荷低減の両立を目指した日本型水稲精密農業を実現するため収穫情報を高精度に測定できる稲麦用収量コンバインを開発した。本研究では、その稲麦用収量コンバインにおいて、水分計の精度向上を図るとともに、ほ場一筆毎の水分測定に適した単粒水分計を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本装置は稲麦用収量コンバインの単粒水分計である。電極ローラーで穀物を圧砕した時の電気抵抗で水分測定を行う方式で、穀物は円盤フィーダーにより一粒ずつ電極ローラーに供給される。測定周期は1粒/sである。電源は12V仕様で、通信コネクタと同じケーブルより供給される。コンバイン通信用のコネクタを有し、コンバイン側のデータ要求信号に呼応して、測定開始、測定終了、データ出力を行う。基板等に防水加工を施してある(表1)。
  • 本装置は、稲麦用収量コンバインのグレンタンク内に装着する(図1a)。コンバイン穀粒口から放出された穀物はホッパに取り込まれる。その時、穀物が過剰に入らないようにホッパ上部に設けた蓋をコンバインの作業状態にあわせて開閉制御するとともに、ホッパ内で穀物が滞留しないように高さ10mmの切り込み加工が施されている(図1b)。電極ローラーには掃除用にスクレーパーと回転ブラシがついているため、高水分の穀物を収穫しても電極ローラーの汚れや残渣はほとんど無く、幅広い水分の穀物に使用しても十分耐え得る(図1c)。
  • 未熟粒が多いほ場や稲体が倒伏したほ場に対応して、水分の単純平均値と中央値から未熟粒補正を行う機能を有している(図2)。
  • 15~40%w.b.の穀物に対応可能で、稲麦用収量コンバインに搭載しても±1.5%以内の誤差で水分測定が可能である(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 今後、稲麦用収量コンバインに装着し実用化(平成20年)する予定である。
  • 本装置を稲麦用収量コンバインに装着することにより、ほ場一筆毎に収穫情報の取得が行え、受託作業を行う生産組合等においては、乾燥施設での荷受け時に水分情報を提供することができる。また、収量データと合わせることにより地域の肥培管理に用いることができる。

具体的データ

表1 稲麦用収量コンバイン用単粒水分計の仕様

図1 稲麦用収量コンバイン用単粒水分計の外観

図2 未熟粒補正の概念図図3 稲麦用収量コンバイン用単粒水分計の測定値と一筆当たりの水分との関係

 

その他

  • 研究課題名:IT、ロボット技術等を活用した革新的な農業機械・装置等の開発
  • 課題ID:800-e
  • 予算区分:経常・次世代緊プロ(評価)
  • 研究期間:2003~2006年度
  • 研究担当者:日高靖之、栗原英治、西村洋、林和信、杉山隆夫、内間亜希子、静岡製機(株)、ヤンマー農機(株)