溝検出式作物列追従装置

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要約

播種作業と同時に溝切器で条間中央に切った溝に作業機を追従させる、溝検出式の作物列追従装置。溝に追従する構造の溝追従部と作業機との横方向のずれをスライドフレームにより修正し、作物列に対する作業機の横方向のずれを5~6割程度低減できる。

  • キーワード:作物列、溝、追従、中耕除草、スライドフレーム
  • 担当:生研センター・基礎技術研究部・資源環境工学研究
  • 連絡先:電話048-654-7139、電子メールinfo-iam_kisobu@ml.affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

中耕除草作業や培土作業(特に、正確な畝合わせが求められる株間除草作業や、作業機が谷側にずれやすい等高線作業)等においては、作業機と作物列との位置関係が適切でないと作物損傷や作業精度の低下が発生する。また、それらの位置関係を確認しながらの操舵は運転者に負担がかかり、作業速度も制限される。そこで、これらの問題を改善するため、作業機を作物列に追従させることのできる簡便な構造の装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本装置は、播種時に条間中央に切った溝を、中耕除草時等に溝追従部(溝に沿って溝中を走行する溝追従輪等から成る、図1)で検出し、市販のスライドフレーム(油圧シリンダ等から成る)によって作業機の横方向のずれを修正することで、作業機を作物列に追従させる装置である(図2)。
  • 作業機中心と作物列中心(条間の溝中心)とのずれは、溝追従部の平行四辺形リンクに取り付けたポテンショメータ(図1)によって検出する。そのずれを元に油圧ポンプと電磁切替弁をON-OFF制御し、油圧シリンダの伸縮を行う。
  • 溝追従輪は輪距の調節が可能であり、追従性を良くする(図3)ため、トーイン(70mm)が設けられている(図1)。
  • 作業速度0.5~1.6m/sでは、作物列に対する作業機の横方向のずれを、制御がない時に比べて5~6割程度減らすことができる(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 作物列に対する作業機軌跡のずれが作業精度に影響する中耕除草作業や培土作業に利用できる。
  • 播種機の条間中央に溝切器を取り付け、深さ10cm以上の追従用の溝を切る。追従時における溝の深さは5cm以上あることが望ましい。
  • 一対の溝追従輪の間隔については、接地する部分が溝幅の4~5割程度となるようにする。

具体的データ

図1 溝追従部図2 作物列追従装置

図3 溝追従輪のトーインと溝追従性との関係図4 作物列に対する作業機のずれの最大値とRMS

その他

  • 研究課題名:環境負荷低減に寄与する農業機械・装置等の開発
  • 課題ID:800-c
  • 予算区分:経常・所内特研(一般)
  • 研究期間:2002~2006年度
  • 研究担当者:手島司、後藤隆志
  • 発表論文等:特許3867016号「農作業機における作物条追従方法」