皮むきと太さ判別が同時に行える長ネギ調製機

要約

圧縮空気による皮むきと太さ判別を同時に行える長ネギ調製機である。センサを用いた太さ判別機能と回転ノズルを用いた高能率な皮むき機能により、熟練者並みの調製作業を行うことができる。また、ノズル加温装置の導入で低温時でも安定した作業ができる。

  • キーワード:長ネギ、皮むき、太さ判別、同時作業
  • 担当:生研センター・園芸工学研究部・園芸調製貯蔵工学研究
  • 代表連絡先:電話 048-654-7000
  • 区分:共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

皮むきや選別といった長ネギの調製作業は、生産労働時間の約半分を占めており、効率的な調製機の開発が求められている。また、出荷規格の一つであるネギの太さ判別は作業者の目視に頼ることが多く、非熟練者での判別精度の確保が課題となっている。そこで、皮むきと同時にネギの太さを自動計測する太さ判別機能を搭載した長ネギの調製機を開発する。

成果の内容・特徴

  • 本機は太さ測定センサ(エリア式ファイバセンサ)と太さ判別結果表示パネル、スピーカーからなる太さ判別部と、回転ノズル(平成21年度研究成果情報で報告)とノズル加温装置、開閉式遮音蓋からなる皮むき部で構成され、皮むきと太さ判別を同時に行える長ネギ調製機(以下、開発機)である。(図1、2)
  • 太さ測定センサを回転ノズルの手前側に設け、投光部と受光部との間に置かれたネギが光を遮る程度でネギの太さを測定する。太さの出荷規格は産地毎に異なるため、太さ判別の基準値はタッチパネルで容易に変更できる。太さの判別結果は、太さ判別結果表示パネルとスピーカーからの音声で作業者に知らせる。(図1)
  • ノズル加温装置はヒーターと送風機、通風管で構成され、加熱した外気を回転ノズルのノズルカバー内へ送ることで樹脂チューブの硬化を抑制し、10°C以下の低温環境下でも安定した皮むき作業が可能となる。(図3)
  • 太さ判別精度は平均63%(56~74%)であり、熟練作業者の目視判別精度の平均68%(62~72%)とほぼ同程度である。皮むき作業能率は慣行機と比べて2~31%向上する。また、回転ノズルの空気使用量節減効果により、単位空気量当たりの処理本数が1.2~2.2倍に増加し、エアコンプレッサの稼働に要する電力消費量(三相)を33~72%に節減できる。(表;秋田県内のネギ生産農家において実施した実証試験結果より)

成果の活用面・留意点

  • 開発機は2011年春に市販化予定である。
  • 小型のエアコンプレッサでも高能率な皮むき作業が可能となり、初期投資の抑制とランニングコストの低減に寄与できる。
  • 太さを自動計測する機能により熟練作業者並みの判別精度が得られることから、雇用労力(非熟練者)の活用や個選共販産地における判別精度の確保に寄与できる。

具体的データ

開発機の外観と装置諸元

開発機による皮むき作業の様子ノズル加温装置

皮むき作業能率、処理本数、電力消費量と太さ判別精度の比較

その他

  • 研究課題名:生産性向上による農業構造改革の加速化に寄与する農業機械・装置等の開発
  • 中課題整理番号:800a
  • 予算区分:経常、実用技術
  • 研究期間:2008~2010年度
  • 研究担当者:藤岡修、貝沼秀夫、大森定夫、(株)マツモト、本庄求(秋田農技セ)、鵜沼秀樹(秋田農技セ)
  • 発表論文等:大森ら「ネギ調製機」特開2011-004669