圧縮空気を間欠噴射することにより、ニラ下葉除去での空気使用量を削減できる

要約

圧縮空気を間欠的にニラの株元に噴射して下葉除去を行う装置で、連続的に空気を噴射する従来の機械と比較して、作業能率と下葉除去精度を維持したまま空気の使用量を約60%削減でき、コンプレッサの消費電力を約45%削減できる。

  • キーワード:ニラ、調製、下葉、圧縮空気、間欠噴射
  • 担当:農業機械化促進・省力化農業機械
  • 代表連絡先:電話 048-654-7000
  • 研究所名:生物系特定産業技術研究支援センター・園芸工学研究部
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

ニラの国内栽培面積は2,240haであるが、同一ほ場において年間5~6回程度収穫が可能で、延べ栽培面積は約12,000haに達する。栽培に要する投下労働時間は780h/10a程度で、刈り取り、下葉除去や選別、結束といった収穫調製作業がそのうち約3/4を占めている。下葉除去には、ニラの株元に圧縮空気を吹き付け不要な下葉や袴を取り除く機械が一般的に利用されており、大量の圧縮空気を必要とする。そのため、大型コンプレッサの導入、消費電力の増大などの問題が指摘されている。そこで、連続的に空気を噴射する従来の機械(以下、慣行機)と比較して、作業能率と下葉除去精度を維持したまま空気使用量を削減する新たなニラ下葉除去装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発機は、全幅610×奥行420×全高570mm、質量24kgで、圧縮空気を間欠的に噴射してニラの下葉を除去する装置である。開発機は、圧縮空気中の水分・粉じんなどを除去するフィルタ、噴射圧力を調節する調圧弁、圧縮空気の噴射・停止を行う電磁弁、12mmピッチで横一列に6個の噴出口を有する上下2個の平型ノズル、作物の有無を検出する光電センサ、間欠噴射の噴射頻度および噴射と停止の時間割合(オンオフ比)を変化させる制御部、本体フレームから構成される(図1、表1)。
  • 上下2個のノズル間にニラの株元を挿入すると、光電センサが作物の有無を検出し、ノズル間に作物が挿入されている時のみ間欠噴射を行う。
  • 間欠噴射を行うことにより、慣行機と比較して空気の使用量を約60%削減でき(図2)、コンプレッサの消費電力を約45%削減できる。
  • 下葉除去に成功したニラの本数割合は約30%で、慣行機を利用した場合より10%程度高い。また、茎が割れたりするなどの損傷も皆無である(図3)。
  • 開発機による作業能率は、10分間当たり21束程度(1束約100g)で、慣行機の20束程度と同程度である。
  • 開発機の耳元騒音は97dB程度で、慣行機の102dB程度と同程度である。

成果の活用面・留意点

  • 作業性能を維持したまま空気使用量を削減できるため、エアコンプレッサの消費電力が削減でき低コスト生産に寄与できる。
  • 2.2kW程度以上のコンプレッサでの利用が望ましい。
  • 作業には、耳栓など騒音に対する防護具の装着が必要である。

具体的データ

図1~3、表1

その他

  • 中課題名:農作業の更なる省力化に資する農業機械・装置の開発
  • 中課題整理番号:600a0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2013年度
  • 研究担当者:貝沼秀夫、紺屋朋子、藤岡修
  • 発表論文等:紺屋ら「圧縮空気の間欠噴射のための電磁弁制御プログラム」P第10230-1