トレニアのジベレリン生合成遺伝子の単離
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要約
トレニアから、ジベレリン生合成調節のキーとなる酵素であるGA 20-oxidase、3β-hydroxylaseおよび2-oxidaseをコードしている遺伝子を単離し、アミノ酸配列を決定した。これらの遺伝子は、茎葉伸長機構の分子生物学的解明や、遺伝子組換えによる花きの生育調節に利用できると期待される。
- キーワード:トレニア、ジベレリン生合成、遺伝子単離、生育調節
- 担当:農研機構・花き研・生理遺伝部・開花生理研究室
- 連絡先:059-268-4663、tomyjin@affrc.go.jp
- 区分:花き
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
花きでは昨今ガーデニングや寄せ植え用に小型化のニーズが多くあり、茎葉の伸長調節は重要な課題となっている。一方、植物ホルモンの一つであるジベレリンは、植物の生育制御に重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、花きの生育調節に関するジベレリン生合成調節機構を解明し、また遺伝子組換えにより、茎葉の伸長等、植物の形質の効率的な改変を可能にするために、トレニアからジベレリン生合成調節のキー酵素となっている遺伝子の単離・同定を図る。
成果の内容・特徴
- トレニアより、ジベレリン生合成酵素をコードしているGA 20-oxidase遺伝子の2クローン、GA 3β-hydroxylase遺伝子の1クローンおよびGA 2-oxidase遺伝子の1クローンを単離した(図1)。
- GA 20-oxidase遺伝子のうち、クローン1は359個のアミノ酸から、クローン 2は387個のアミノ酸からそれぞれ構成される(図2)。両クローンの間では65%以上の相同性がある。
- GA 3β-hydroxylase遺伝子は382個のアミノ酸から構成され、他の高等植物の遺伝子との間で55%以上の相同性がある(図3)。
- GA 2-oxidase遺伝子は332個のアミノ酸から構成され、他の高等植物の遺伝子との間で55%以上の相同性がある(図4)。
成果の活用面・留意点
- これらの遺伝子を利用した組換え植物の作出は、生育調節に関する新たな育種素材の開発に役立つ。
- 花きの生育調節に関するジベレリン生合成調節機構の分子生物学的な解明に利用できる。
- これらの遺伝子の塩基配列はGenBank等のデータバンクに登録申請中である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:トレニア等の器官形成機構の生理的解析
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:仁木智哉、Li Tuoping、久松完、西島隆明、腰岡政二
- 発表論文等:1)仁木ら(2001)園学雑70(別2):449