バラ切り花の品質保持期間延長に有効な薬剤処方

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

グルコース、イソチアゾリン系抗菌剤、クエン酸および硫酸アルミニウムによるバラ切り花の品質保持期間を著しく延長する薬剤処方(GLCA)を開発した。

  • キーワード:バラ、花持ち、品質保持、GLCA
  • 担当:花き研・生産利用部・流通技術研究室
  • 連絡先:電話029-838-6821、電子メールichimu@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

品質保証等により、品質保持期間の長い切り花を流通させることが必要とされている。バラ切り花は花持ちが短いことが問題となっている。しかし、これまで汎用されていた抗菌剤8-ヒドロキシキノリン硫酸塩とグルコースを組み合わせた処方は国内の主要品種切り花の品質保持期間延長に効果がない。そこで、バラ切り花の品質保持期間を延長する処方を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発した薬剤処方(GLCA)は10g/l グルコース、0.55mg/l 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(CMIO)、0.2mg/l 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIO)、30mg/l クエン酸、50mg/l 硫酸アルミニウムから構成される。
  • GLCAを連続処理することにより、調べたすべての品種の品質保持期間は著しく延長する(表1、図1)。
  • ‘ローテローゼ’切り花を30℃という高温条件下で保持した場合も、GLCAは切り花の品質保持期間を著しく延長する(データ略)。
  • 通常よりもステージが早い段階で収穫した‘ローテローゼ’切り花においても、GLCAは適期で収穫した切り花と同様の品質保持効果を示す(データ略)。
  • 実際の利用場面を想定し、10℃で1日バケット輸送シミュレーションを行い、8℃で3日間保管した‘ローテローゼ’切り花を、28℃で保持した際に処理した場合も、約10日の品質保持期間を示す(表2)。

成果の活用面・留意点

  • バラ切り花の品質保持期間延長に利用できる。
  • グルコースは炭素源の供給、CMIOとMIOは抗菌作用、クエン酸は溶液を酸性にすることによる抗菌効果の安定化、硫酸アルミニウムは蒸散抑制による水分関係の改善に機能する。
  • 10℃以下の低温で処理すると、葉に薬害が生じる場合があるので注意が必要である。
  • 切り花を保持した環境条件は、特に記さない限り、23℃、相対湿度70%、12時間日長、光強度10μmol・m-2・s-1である。

具体的データ

表1 G LC Aの連続処理がバラ切り花の品質保持期間に及ぼす影響

 

図1 ‘ローテローゼ’切り花の品質保持に及ぼすGLCA の影響

 

表2 G LC A の後処理が低温で保存後、高温で保持した‘ローテローゼ’切り花の品質保持に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:糖、新規エチレン阻害剤、界面活性剤等の利用による主要切り花の品質保持技術の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2002年度
  • 研究担当者:市村一雄、田口誠(東濃地域土岐農改)