トルコギキョウ花弁の黄色系フラボノイドの非破壊検出法

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要約

淡色系のトルコギキョウの生花弁の黄色系フラボノイド含量は、365nmの紫外光を照射することで簡単に推定できる。

  • キーワード:トルコギキョウ、紫外光、フラボノイド、非破壊
  • 担当:花き研・生理遺伝部・品質生理研究室
  • 連絡先:電話029-838-6816、電子メールfaba@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

淡黄色色素であるフラボノイドは、トルコギキョウを始めとする多くの花の主要色素である。多くの種類の花において、白色~クリーム色といった薄色系の花の色調が、フラボノイドの含量により決定される。ただしフラボノイドは可視光域の吸光度が弱いため、黄色の発色に必要な濃度の閾値が高く、低濃度では白色としてしか認識できない。肉眼による検出が困難であるため、これまでの分析には有機溶剤による抽出・濃縮操作とHPLCなどの高額機器を必要としている。花弁のフラボノイド情報を非破壊的に簡単に得る方法を開発すれば、花きの成分育種に役立つ。

成果の内容・特徴

  • 白色のトルコギキョウの花を暗箱中(コスモバイオ社 CSN-15)で365nmの紫外光を照射して観察する(図1)。紫外光下での花弁の明るさからフラボノイド含量を推定できる(図2)。
  • 花弁中でフラボノイド含量が高い部分は、紫外光下で黒く観察されることから、フラボノイドの花弁内分布を判定できる(図3)。
  • 本法は従来の機器分析法と比べて、試料に処理を加える必要が無い、迅速に多数の試料を測定できる、費用が安いという利点がある。

成果の活用面・留意点

  • フラボノイドの情報に基づいた非破壊的な簡易選抜が可能になることで、純白やクリーム色品種、黄色覆輪や黄色絞り品種の効率的な育種に利用できる。
  • 紫外光下で光る品種が存在することから、花の新用途開拓が期待される。
  • 本法は、トルコギキョウ以外の多くの花きに対しても利用できると考えられる。
  • ここで述べているフラボノイドとは、淡黄色色素であるフラボン、フラボノール等の狭義のフラボノイドを表している。

具体的データ

図1 トルコギキョウ白色花の紫外光下での明度の違い

 

図2 紫外光下での花弁のUV 判定値とフラボノイド濃度との相関

 

図3 紫外光下で覆輪を示す白色花

その他

  • 研究課題名:未同定色素の分子構造の解析
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:福田直子、中山真義、宮坂昌実(長野県野菜花き試)、朽津和幸(東京理科大学)、
                      斉藤涼子(東京理科大学)