間欠画像撮影を利用したカーネーション切り花のエチレン感受性検定法

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要約

カーネーション切り花のエチレン感受性簡易検定法を開発した。本法は、10μl/lの高濃度エチレン処理中の切り花をビデオカメラで1時間おきに1分間ずつ間欠撮影し、録画した画像より処理開始から花弁の萎ちょうが生じるまでの反応時間を測定するものであり、詳細な感受性の違いが判別できる。

  • キーワード:カーネーション、エチレン感受性、間欠画像撮影、萎ちょう
  • 担当:花き研・生理遺伝部・遺伝育種研究室
  • 連絡先:電話029-838-6814、電子メールonozaki@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

カーネーションは典型的なエチレン感受性花きであり、花の老化にエチレンが大きく関与している。そのため、エチレン感受性はカーネーションの花持ち性を決定する重要な要素の一つである。従来、2μl/lのエチレン濃度で16時間処理した後の花持ち日数を調査することにより、エチレン感受性を評価している。しかし従来法では、処理終了時に既に花弁の萎ちょうが生じている場合、等しく花持ち日数を0日と判定し、16時間以内のどの時点で花弁の萎ちょうが発生するのかを判別できない欠点がある。そこで、花弁の萎ちょうが発生するまでの反応時間を正確に評価するために、間欠画像撮影を利用したカーネーション切り花のエチレン感受性検定法を開発した。

成果の内容・特徴

  • 外花弁が水平状態の開花ステージで採花し蒸留水に挿した茎長20cmの切り花を用い、検定用チャンバー内で23℃の温度条件でエチレン処理を行う。処理中の切り花をビデオカメラで1時間おきに1分間ずつ撮影し、ハードディスクビデオレコーダーに録画する(図1)。録画終了後、再生した花の画像を基に、処理開始から花弁の萎ちょうが生じるまでの反応時間を測定する。
  • 用いる機器は家庭用ビデオを中心とした構成で、比較的安価に構築できる。
  • エチレンの処理濃度については、1~2μl/lの低濃度では低感受性の品種・系統で花弁の萎ちょうが非常に緩慢で反応時間にバラツキが大きいのに対し、20μl/lの高濃度では反応時間が短く低感受性品種・系統内の違いが検出しにくい。したがって、10μl/lの処理濃度が適当である(図2)。
  • 本検定法により、従来検出できなかった詳細な感受性の違いを判別できる。例えば、感受性品種の‘ホワイトシム’他5品種では、処理開始から6.2~7.0時間で花弁の萎ちょうが生じるのに対し、同様に感受性品種とされている‘キラー’、‘キャンディ’、‘パラス’の反応時間はそれぞれ、8.7、11.6、12.6時間と長く、感受性に差がある。一方、低感受性の品種‘キネラ’、系統64-54の反応時間はそれぞれ、14.2、20.6時間とより長く、系統64-54の感受性が最も低いと判別できる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 実生選抜の際に利用することにより、カーネーションのエチレン低感受性系統の育種が可能である。
  • エチレン処理濃度を検討することにより、スイートピー、デルフィニウムなどのエチレン感受性花きにも適用が可能である。

具体的データ

図1.

図2.

 

図3.

その他

  • 研究課題名:カーネーション萎凋細菌病抵抗性等に関連したDNAマーカーと抵抗性系統の開発
  • 予算区分:組換え植物
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:小野崎隆、池田広、柴田道夫