デルフィマムタイプのスプレーギク花房における開花順序の逆転現象
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要約
スプレーギク花房において、下位節から上位節へと開花が進む開花順序の逆転現象は、温度遭遇の前歴がその発生に影響し、夏季の高温遭遇により促進、低温処理により抑制される。本現象はロゼット現象と関連している。
- キーワード:スプレーギク、開花順序、ロゼット
- 担当:花き研・生理遺伝部・開花生理研究室
- 連絡先:電話0298-38-6815、電子メールtamotsu@affrc.go.jp
- 区分:花き
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
消費ニーズの多様化に伴い、スプレーギク品種の多様化が進んでいる。スプレーギクの花房では、通常頂花から下位節へと開花が進んでいくが、下位節から開花していく開花順序の逆転が観察される。近年、本現象を利用した新タイプのスプレーギク(デルフィマム)の開発が進行している。そこで、新タイプのスプレーギクの安定生産技術を開発するために本現象の発生機構を解析する。
成果の内容・特徴
- 開花順序の逆転現象(図1)は、親株ならびに苗が夏季の高温に遭遇することにより誘導される。
- 開花順序の逆転程度は高温遭遇の程度が高まるに従い、上位節と下位節の同時開花、下位節の先行開花、花芽未分化と連続的に移行する(図1、図2、図3-1)。
- 苗への低温処理は、本現象の発生を抑制する(図3-2)。
- 開花順序の逆転現象は節間伸長の低下、開花遅延を伴う(データ略)。
- 以上の現象は、ロゼット化における温度反応ならびに生育様相と共通するものである。従って、開花順序の逆転現象は、ロゼット化に関連すると結論される。
成果の活用面・留意点
- デルフィマムタイプの安定生産技術開発の基礎的知見となる。
- 開花順序の逆転現象の発生には、品種・系統間差が存在するので留意が必要である。
- キクのロゼット現象に関する機構解明の基礎的知見となる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:花きの形態形成の生理的解明
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2005年度
- 研究担当者:久松 完、腰岡政二、西島隆明、池田 廣、道園美弦、柴田道夫