STSとスクロースの併用によるトルコギキョウ切り花の品質保持技術
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要約
トルコギキョウ切り花を、STS(チオ硫酸銀錯塩)とスクロースを組み合わせて前処理することにより、つぼみの開花促進、花色の向上、小花の花持ち延長などの高い品質保持効果を得ることができる。
- キーワード:トルコギキョウ、花持ち、STS、スクロース
- 担当:花き研・生産利用部・流通技術研究室
- 連絡先:電話029-838-6821、電子メールhirokosh@affrc.go.jp
- 区分:花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、消費者の人気が高まっているトルコギキョウでは、切り花の花持ち延長を目的としたSTS(エチレンの作用阻害剤)の
前処理が普及しつつある。多くの小花を持つトルコギキョウでは、収穫後のつぼみの不開花や花色発現の不良の問題もあるが、STSにはこれらの改善効果はほ
とんどない。一方、多くの切り花品目で、スクロース等の糖類がつぼみの開花促進や花色発現に有効なことが報告されている。そこで、トルコギキョウ切り花に
ついて、STSとスクロースを組み合わせた前処理が、花持ち延長、つぼみの開花、花弁の発色等に及ぼす影響を検討し、有効な品質保持技術を開発する。
成果の内容・特徴
- 前処理として、0.2mM STS溶液、4%スクロース溶液(200mg/L 8-ヒドロキシキノリン硫酸塩を含む)あるいは両者を組み合わせた溶液を、暗黒条件下で20時間、茎の切り口から吸収させる。
- スクロースを加えた処理では、STS単用に比べて収穫後に開花した小花のアントシアニン濃度が2~3倍高まり、花色発現が促進される(図1)。また、つぼみの開花率も高まる(データ略)。
- スクロースを加えることで小花のベントネック(首曲がり)発生率が低下し、STS単用に比べて切り花の花持ち延長効果が高い(図2、表1)。
- STS+スクロース処理では、収穫時に小さいつぼみであった第3、第4小花の花持ちがスクロース単用に比べて優れる(図3)。
- 以上より、STS+スクロース処理は、スクロースとSTSの効果を併せ持つことにより、トルコギキョウ切り花の花持ち期間を延長するとともに、つぼみの開花や花色の発現を促進する。
成果の活用面・留意点
- 本実験の結果は、23℃、相対湿度70%の暗黒条件で前処理を行い、処理後は同じ温湿度、光強度10μmol・m-2・s-1 、12時間日長条件で保持して得られたものである。
- 4%スクロース溶液の場合、新鮮重1g当たり吸収量が0.4mlを越えると葉に障害が発生する危険性が高まる。吸収量は低湿度ほど大となるので、温度23℃で前処理する場合は、相対湿度70%以上に保つ必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:糖、新規エチレン阻害剤、界面活性剤等の利用による主要切り花の品質保持技術の開発
- 課題ID:10-02-03-01-03-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:清水弘子、市村一雄、小林祐一(福島県試会津研究支場)