紫外光と青色光を用いた花弁中のフラボノイドとカロテノイドの簡易判別法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

フラボノイドは紫外光を、カロテノイドは青色光をそれぞれ特異的に吸収することから、紫外光下で花弁が暗く見えることでフラボノイドの存在を、青色光下で暗く見えることでカロテノイドの存在を非破壊的に検出できる。

  • キーワード:トルコギキョウ、黄色花弁、カロテノイド、非破壊分析
  • 担当:花き研・生理遺伝部・品質生理研究室
  • 連絡先:電話029-838-6816、電子メールnakayosi@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

花色に焦点をおいた育種には色素に関する情報が不可欠である。花弁における黄色の発色を担うのは、主に濃黄色系色素のカロテノイドと淡黄色系色素のフラボ ノイドである。これらの色素を区別するためには煩雑な手法を必要としている。本研究においてこれらの色素の簡便な非破壊分析法を開発し、育種素材の選抜に 利用する。

成果の内容・特徴

  • フラボノイドは紫外光領域で、カロテノイドは青色光領域で吸光度が高いことから(図1)、フラボノイドは紫外光下で、カロテノイドは青色光下で暗く見える(図2)。
  • トルコギキョウの花弁において黄色の発現を担う主要色素はフラボノイドであり、カロテノイドは花弁の発色には関与していないと考えられているが、紫外光下で明るくかつ青色光下で暗くみえるトルコギキョウの紫-クリーム覆輪品種を見出した(図3)。
  • 本品種の花弁のクリーム色組織における主要な黄色色素は、カロテノイド(19 nmol/g f. w. ルテイン等量)である。同組織のフラボノイド内生量は1200 nmol/g f. w. ルチン等量であり、白色品種花弁と同程度である。従って本品種の黄色はカロテノイドにより発色していると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • トルコギキョウにおいてもキクやバラと同様に、カロテノイドにより濃黄色を発現する品種を育成できる可能性が示された。
  • 他の花きにおいても紫外光と青色光を用いてカロテノイドによる新規黄色品種の検出が期待できる。

具体的データ

図1 フラボノイドとカロテノイドの吸光特性

 

図2 可視光(上)、紫外光(中)、 青色光(下)で見た黄色色素

 

図3 可視光(上)、紫外光(中)、青色光(下)で見たトルコギキョウ

 

その他

  • 研究課題名:未同定色素の分子構造の解析
  • 課題ID:10-01-04-01-01-02
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2000~2003年度
  • 研究担当者:中山真義、福田直子、八木雅史、宮坂昌実(長野県野菜花き試)