デルフィニウム鉢花の花持ちに及ぼす光強度
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要約
弱光下ではデルフィニウム鉢花の花持ちが短縮する。この原因は弱光下では葉における光合成速度が低下することにより小花の糖含量が低下し、エチレン生成が促進されるためである。
- キーワード:デルフィニウム、花持ち、光強度、エチレン
- 担当:花き研・生産利用部・流通技術研究室
- 連絡先:電話029-838-6801、電子メールtanase@affrc.go.jp
- 区分:花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
光環境は花持ちに大きな影響を及ぼすことが明らかにされているが、詳細な解析はほとんど行われていない。また、デルフィニウムの切り花へのグルコース等の
糖処理はエチレン感受性および生成量を低下させ、落花を抑制することが報告されている。そこで、異なる光条件下で保持したデルフィニウムについて、花持ち
と葉における光合成速度、小花の糖含量、エチレン生成との関係を調べ、花持ちを低下させない光条件を検討する。
成果の内容・特徴
- 小花が開花した直後にデルフィニウム鉢花を300μmol/m2/secおよび70μmol/m2/sec(PPFD)の光条件下に置くと十分な花持ちが得られる。しかし、7μmol/m2/secの弱光では花持ちが短縮する(表1)。
- 300μmol/m2/secおよび70μmol/m2/secでは成葉の光合成速度は正の値を示すが、7μmol/m2/secでは負の値を示す(図1)。
- 小花の糖濃度は、がく片および雌ずいともに光強度が減少するにしたがい低下する(図2)。
- 7μmol/m2/secでは、300μmol/m2/secおよび70μmol/m2/secに比べ小花のエチレン生成量が高くなる(図3)。
- 以上の結果から、開花後に弱光条件下に置かれたデルフィニウムは、光合成速度が低下することにより小花の糖濃度が低下し、エチレン生成が促進されて花持ちが短縮すると考えられる。
成果の活用面・留意点
7μmol/m2/secの光条件は、(三波長域型)昼白色蛍光灯下2mの室内とほぼ同等の条件である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:トルコギキョウ等花きの収穫後生理機構の解明
- 課題ID:10-02-03-01-04-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:棚瀬幸司、牛尾亜由子、市村一雄