カボチャのジベレリン20-oxidase遺伝子の導入によるトレニアのわい化

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

ジベレリン生合成経路を不活性型生合成方向へと変化させる働きを持つカボチャ未熟種子由来のジベレリン20-oxidase遺伝子は、トレニアをわい化させる。導入遺伝子は後代に優性形質として遺伝し、わい化を生じさせる。

  • キーワード:トレニア、形質転換、ジベレリン生合成遺伝子、わい化
  • 担当:花き研・生理遺伝部・開花生理研究室
  • 連絡先:電話029-838-6815、電子メールtomyjin@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

花きではガーデニングや寄せ植え用に小型化のニーズが多くあり、茎葉の伸長調節は重要な課題となっている。一方、植物ホル モンの一つであるジベレリン(GA)は、植物の生育制御に重要な役割を果たしている。ジベレリン生合成に関わる酵素のうち、カボチャ未熟種子より単離され たGA 20-oxidaseは、ジベレリン生合成経路を不活性型生合成方向へと変化させることが知られている。そこでカボチャのGA 20-oxidase遺伝子をトレニアに導入し、わい化させる。

成果の内容・特徴

  • カボチャ未熟種子より単離したGA 20-oxidase遺伝子を高発現プロモーターカセットに接続し(図1)、アグロバクテリウムを介してトレニアに導入し、わい化個体を得た。
  • わい化形質を示した形質転換体の自殖第1世代では、わい化個体の草丈は正常個体の60%程度になる(図2、表1)。
  • わい化個体と正常個体は3:1に分離し、導入遺伝子は優性形質として遺伝する(表1、図3)。
  • 導入遺伝子が確認されたわい化個体のみで導入遺伝子が発現している(図3、4)。

成果の活用面・留意点

  • 新たなわい化トレニアの育種素材として利用できる。
  • 花きの生育調節に関するジベレリン生合成調節機構の分子生物学的な解明に利用できる。

具体的データ

図1 高発現プロモーターカセットに接続したカボチャGA 20-oxidase遺伝子のコンストラクト

 

図2 カボチャGA 20-oxidase遺伝子を導入した形質転換トレニアの自殖後代

 

表1 形質転換トレニアの自殖後代(T2世代)と非形質転換体の比較

 

図3 Southern法による導入したカボチャGA 20-oxidase遺伝子の検出

 

図4 Northern法による導入したカボチャGA 20-oxidase遺伝子の発現解析

 

その他

  • 研究課題名:ジベレリン生合成遺伝子を利用したわい化トレニアの作出
  • 課題ID:10-01-03-01-11-03
  • 予算区分:組換え植物
  • 研究期間:1999~2003年度
  • 研究担当者:仁木智哉、久松完、山崎博子(野菜茶研)、Peter Hedden(ブリストル大学)、Theo Lange(ブランシュバイク工科大学)、間竜太郎、柴田道夫、西島隆明、腰岡政二