キクの花成に関連するDgLFY遺伝子の単離
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要約
キクから単離されたDendranthema grandiflorum LEAFY (DgLFY)遺伝子は、アラビドプシス由来のLEAFY遺伝子同様に、形質転換後、アラビドプシスにおいて開花促進効果がある。本遺伝子は、キクの短日条件下における花成の過程で発現が促進される。
- キーワード:キク、花成関連遺伝子
- 担当:花き研・生理遺伝部・開花生理研究室
- 連絡先:電話0298-38-6815、電子メールtakaaki@affrc.go.jp
- 区分:花き
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
キクは日長反応性、幼若性、ロゼット性などが相互に関連した複雑な開花反応をもつ。遺伝子レベルでこれらの反応性を解析す
ることは、従来からの生態分類をより精密化し、遺伝子レベルでの生態反応の制御に繋がる可能性をもっている。アラビドプシスにおいて花成を促進するLEAFY (LFY)は、転写因子をコードし、茎頂分裂組織における生殖器官の分化を制御する働きを持つことが明らかになっている。本研究ではキクより、LFYの相同遺伝子を単離し、その機能と発現特性を解析した。
成果の内容・特徴
- キクから単離した、花成に関与する転写調節因子をコードする、Dendranthema grandiflorum LEAFY (DgLFY)遺伝子のORF領域は1239 bpで413アミノ酸をコードし、他の植物におけるLFY遺伝子と、アミノ酸レベルで55%以上の相同性が見られる(図1)。
- DgLFY遺伝子をアラビドプシスに導入して過剰発現させると、開花促進効果が認められる(図2)。
- キクが短日(12時間日長)下で花成が起こるのに伴い、DgLFYの発現量は上昇する。しかし、花成の起こらない長日(16時間日長)及び暗期中断(12時間日長+4時間暗期中断)では、DgLFYの発現は検出限界以下である(図3)。
- 以上から、DgLFY遺伝子はキクの花芽分化と密接な関係を持つことが示唆される。
成果の活用面・留意点
- キクの花成誘導機構の分子生物学的解明に利用できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:草本切花類の低温要求性に関する要因の解析
- 課題ID:10-01-03-01-03-03
- 予算区分:特別研究員・交付金
- 研究期間:2001-2003年度
- 研究担当者:Tuoping Li、久松完、仁木智哉、道園美弦、西島隆明