トルコギキョウ切り花の受粉による花持ちの短縮

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要約

トルコギキョウ小花において、柱頭から葯までの距離が短いと受粉しやすく、柱頭の受粉量が多いほど、エチレン生成の上昇が早まり小花の花持ちが短縮する。

  • キーワード:トルコギキョウ、花持ち、受粉、エチレン
  • 担当:花き研・生産利用部・流通技術研究室
  • 連絡先:電話029-838-6821、電子メールhirokosh@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

トルコギキョウは様々な花色、花形の品種が育成されており、その花持ちは比較的よい切り花であるが、品種間差がある。また、トルコギキョウはエチレンに対 する感受性が比較的高く、人工受粉により花持ちが短縮することが明らかにされている。そこで、柱頭から葯までの距離という指標を用いて、受粉のしやすさや 受粉量が花持ちに及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • トルコギキョウ13品種の小花において、柱頭から葯までの距離と受粉花の割合は高い負の相関関係にあり、柱頭から葯までの距離が短いほど受粉しやすい(図1)。
  • 柱頭の全面に受粉する処理では、柱頭の1/8の面積に受粉する処理に比べて花持ちが短縮する(図2)。
  • 柱頭の受粉面積が大きいほど小花のエチレン生成の上昇は早まり、エチレン生成量も多くなる(図3)。
  • 以上の結果から、柱頭から葯までの距離が短いと、柱頭に多量の花粉が付着し、花持ちが短縮する可能性が高まると判断される。
  • 受粉による花持ちの短縮を抑制するには、柱頭の受粉面積が大きいほど、高濃度のチオ硫酸銀錯塩(STS)処理が必要である(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 柱頭から葯までの距離は、受粉による花持ち短縮のリスクを避けるという点で、花持ちに関する育種を行う際に有用な指標になり得る。
  • 小花に2mM STSを処理すると柱頭の褐変などの薬害がみられることがある。

具体的データ

図1 トルコギキョウ13品種における柱頭から葯までの距離と受粉花の割合の関係

 

図2 柱頭の受粉面積がトルコギキョウ小花の花持ちに及ぼす影響

 

図3 柱頭の受粉面積がトルコギキョウ小花のエチレン生成量に及ぼす影響

 

図4 柱頭の受粉面積とSTS濃度がトルコギキョウ小花の花持ちに及ぼす影響

 

その他

  • 研究課題名:トルコギキョウ等花きの収穫後生理機構の解明
  • 課題ID:10-02-03-01-04-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:清水弘子、市村一雄
  • 発表論文等:清水、市村(2002)園学雑71(3):449-451.