カーネーションの連鎖地図と萎凋細菌病抵抗性のQTL解析
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要約
RAPDおよびSSR解析により作成されたカーネーションの連鎖地図は、全長605.0cMで16連鎖群から構成される。QTL解析より、萎凋細菌病抵抗性に関する主働抵抗性遺伝子は第6連鎖群に、2つの微働抵抗性遺伝子は第2、5連鎖群に位置付けられる。
- キーワード:カーネーション、DNAマーカー、連鎖地図、QTL、RAPD、SSR、萎凋細菌病
- 担当:花き研・生理遺伝部・遺伝育種研究室
- 連絡先:電話029-838-6814、電子メールmyagi@affrc.go.jp
- 区分:花き
- 分類:科学・普及
背景・ねらい
連鎖地図は有用形質の遺伝解析を行う上で基礎となるものである。カーネーションは3大切り花の1つであるが、連鎖地図作成の報告は ない。そこで、RAPDおよびSSRマーカーによる連鎖地図を作成する。また、この地図を用いてQTL解析を行うことで萎凋細菌病抵抗性に関与する遺伝子 座を明らかにし、マーカー選抜育種の効率化を図る。
成果の内容・特徴
- ダイアンサス属では、初めての連鎖地図である。
- 抵抗性野生種Dianthus capitatus由来の抵抗性を有する中間母本‘カーネーション農 1号’と罹病性品種‘プリティファボーレ’との正逆交配によって得られた抵抗性分離集団134系統を用いて作成した連鎖地図である。本地図は、カーネー ションの基本染色体数(n=15)より1本多い16連鎖群から構成される(図1)。
- 本地図の全長は605.0cMであり、137個のRAPDマーカーおよび9個のSSRマーカーが124座に座乗し、マーカー間平均長は4.9cMである(図1)。
- QTL解析により、萎凋細菌病抵抗性には、第6連鎖群に位置付けられる1つの主働抵抗性遺伝子(LOD値23.5、 寄与率60.5%)と第2(LOD値2.3、寄与率8.7%)および第5連鎖群(LOD値2.9、寄与率10.8%)に位置付けられる少なくとも2つの微 働抵抗性遺伝子が関与している(表1)。
成果の活用面・留意点
- 本連鎖地図は、花型、花色、早晩性等の重要形質の遺伝解析、マーカー探索に有効である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:マーカー利用による萎凋細菌病抵抗性カーネーションの作出
- 課題ID:10-01-02-01-11-05
- 予算区分:組換え植物
- 研究期間:1998∼2005年度
- 研究担当者:八木雅史、小野崎隆、種谷光泰(千葉農総研)、渡邊英城(大分温泉熱花き)、吉村正久(宮城農園研)、吉成強(栃木南那須農業振興事務所)、落合幸昭(元宮崎農試)、柴田道夫
- 発表論文等:Yagi et al. (2006) J. Japan. Soc. Hort. Sci. 75: 166-172