覆輪形質の数量化に基づいたトルコギキョウ品種の覆輪安定性の評価方法

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要約

トルコギキョウの覆輪安定性は品種によって異なり、20℃一定条件で栽培した第1花の花弁を画像解析して得られる着色面積率の標準偏差によって評価できる。

  • キーワード:トルコギキョウ、覆輪安定性、画像解析、着色面積率
  • 担当:花き研・生理遺伝部・品質生理研究室
  • 連絡先:電話029-838-6816、電子メールfaba@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

トルコギキョウは我が国において切り花として品種改良が進み、育成された品種は世界的にも大きなシェアを占める。花弁の先端部の色 が基部と異なる覆輪はトルコギキョウの代表的な花色であるが、覆輪の着色面積と形は栽培環境によって変動し切り花品質を低下させる。そこで覆輪安定性の高 い品種の選定や育成に有効な評価方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 各品種約20個体を用い第1花の花弁1枚について、花弁の表面の像をスキャナーを用いてBMP形式でパソコンに取り 込み、画像解析ソフトを用いて画像のRGB値をもとに花弁面積および着色面積を算出して着色面積率を求める。覆輪着色面積率は覆輪着色部の増加と変形をよ く反映することから(図1)、着色面積率の個体間分散に基づく標準偏差を覆輪形質の変動の指標として用いると、標準偏差が小さいほど覆輪安定性が高いと評価できる。
  • 覆輪着色面積率には品種間差が認められ、季咲きである夏開花よりも20℃一定条件で栽培することによって、多くの品種の着色面積率の平均値が増加する(図2)。
  • 着色面積率のバラツキを示す標準偏差も、夏開花よりも20℃一定条件栽培で増加する品種が多い(図3)。標準偏差の栽培条件による変動と着色部の変形の有無をもとに、覆輪形質が安定な品種A、不安定な品種B、栽培条件によって大きく変動する品種Cに分類することができる。本方法で覆輪形質が安定と評価された品種を表1に示す。

成果の活用面・留意点

  • 表1をもとに覆輪安定性の高い品種を選択できる。
  • 品種、系統の覆輪安定性評価方法として活用できる。
  • 本成果は直径10.5cmポットを用いた底面給水条件で得られたものである。

具体的データ

図1 着色指数で表された覆輪形質の変異と着色面積率の関係 ▲、●は異なる品種を示す。

 

図2 覆輪着色面積率の栽培条件による変動記号は図3と同じ,点線はY=Xを示す。

 

図3 覆輪安定性の栽培条件による変動A安定、B不安定、C栽培環境により不安定点線はY=Xを示す。

 

表1 覆輪形質が安定と評価されたA群の品種

 

その他

  • 研究課題名:温度ストレスが花色発現に及ぼす影響の解明
  • 課題ID:10-01-05-01-11-05
  • 予算区分:気候温暖化
  • 研究期間:2003∼2007年度
  • 研究担当者:福田直子、中山真義、吉岡洋輔(筑波大院)、大澤良(筑波大院)
  • 発表論文等:福田ら(2005) 園学研 4(3):265-269