トルコギキョウ切り花におけるスクロースの前処理による障害葉発生回避技術

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要約

トルコギキョウ切り花において、前処理時に4%スクロース処理を行う場合は処理時の相対湿度を高めると障害葉発生のリスクが低減する。

  • キーワード:トルコギキョウ、花持ち、スクロース、障害葉、相対湿度
  • 担当:花き研・花き品質解析研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-6821、電子メールhirokosh@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、消費者の人気が高まっているトルコギキョウでは、切り花の花持ち延長、つぼみの開花促進、花色発現等にスクロースの前処理が有効である。前処理時に高濃度のスクロースを処理した場合、葉に障害が発生することがある(第1図)。障害葉の発生を回避し、かつ花持ち延長に効果的なスクロースの前処理条件を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 品種‘ミラコーラル’に0%(蒸留水)、2%および4%スクロース溶液を、茎の切り口から吸収させた。処理時の相対湿度は53%、71%、86%の3区を設けた。
  • 切り花の処理液の吸収量とそれに伴うスクロース吸収量は相対湿度が低いほど増加する(第1表)。
  • 4%スクロース処理では相対湿度が低いほど障害葉発生個体率が増加する。一方、2%スクロース処理はいずれの相対湿度条件下でも障害葉の発生がみられない(第1表)。
  • 花持ちはいずれの相対湿度条件下においても4%スクロース処理で最も延長する。また、最大開花率はいずれの相対湿度条件においても高い値を示す。一方、2%スクロース処理では53%RH条件において他の相対湿度条件に比べて花持ち延長し、高い最大開花率を示す(第1表)。
  • 以上により、4%スクロースの前処理を行う場合は処理時の相対湿度が高い条件で処理を行うと障害葉の発生が抑制され、なおかつ花持ちが延長する。処理時の相対湿度が低い場合はスクロース濃度を下げて処理を行うことも、障害葉の発生を回避しながら花持ち延長効果を得るには有効である。

成果の活用面・留意点

  • 本実験の花持ちの結果はスクロース処理後切り花を蒸留水に挿し、23℃、相対湿度70%、光強度10μmol・m-2・s-1 、12時間日長条件で保持して得られたものである。
  • 本実験は品種‘ミラコーラル’を用いて、前処理温度23℃で得られた結果である。品種、栽培環境および処理温度などによって障害葉が発生する相対湿度条件は異なると考えられる。

具体的データ

第1表.相対湿度とスクロース濃度が処理液の吸収量、障害葉発生個体率、処理後の花持ちおよび最大開花率に及ぼす影響

第1図.4%スクロース・53%RH処理    で発生した障害葉(収穫後14日目)

第2図.23°C、83%RH条件で前処理を行った切り花の収穫後7日目の様子

その他

  • 研究課題名:花きの品質発現機構の解明とバケット流通システムに対応した品質保持技術の開発
  • 課題ID:313-b
  • 予算区分:高度化事業
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:湯本弘子、市村一雄
  • 発表論文等:湯本・市村(2007)園芸学研究6:301-305