ペチュニアの香気成分の系統間差

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要約

ペチュニア原種(Petunia axillaris)の香気成分には系統間差がある。発散成分の系統間差は内生成分の安息香酸メチルに起因する。いくつかの系統には、イソオイゲノールと新規化合物ジヒドロコニフェリルアセテートが存在する。

  • キーワード:ペチュニア、香気成分、イソオイゲノール、ジヒドロコニフェリルアセテート
  • 担当:花き研・花き品質解析研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-6816、電子メールnamisea1@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

ペチュニア原種(Petunia axillaris)には官能的に香りの強弱が異なる系統が存在する。それらの系統について香気成分の発散成分、内生成分を解析し、それぞれの香気成分の系統間差を生じさせる要因を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • P. axillaris 系統の主要内生香気成分は安息香酸メチル、イソオイゲノール、安息香酸ベンジルである。
  • 香気成分の発散成分、内生成分には系統間差が見られる(図1)。発散成分と内生成分の組成比の違いは、各香気成分の蒸気圧によるものであり、発散成分量の系統間差は、内生成分の安息香酸メチル量に起因する。
  • いくつかの系統中に、香気成分量と同様の経時変化を示す未知化合物が存在する。その化合物は、生合成上イソオイゲノールと近接の、新規化合物ジヒドロコニフェリルアセテートである(図2)。
  • ジヒドロコニフェリルアセテートとイソオイゲノールの有無により、系統は3つに分けられる。これら二つの化合物は、系統間でほぼ排他的に存在する(図3)。
  • 以上のことから、内生成分の系統間差を生じさせる調節段階の一つは、イソオイゲノールとジヒドロコニフェリルアセテートの分岐点にあると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 花の香りの強弱を制御するための基礎的知見となる。
  • ペチュニア原種系統は、香気成分生合成酵素および遺伝子の単離に利用できる。

具体的データ

図1.P.axillaris系統間における香気成分量の比較

図2.P.axillaris系統間におけるジヒドロコニフェリルアセテートの推定成合成経路

図3.P.axillaris系統間におけるイソオイゲノールとジヒドロコニフェリルアセテートの比較

その他

  • 研究課題名:花きの品質発現機構の解明とバケット流通システムに対応した品質保持技術の開発
  • 課題ID:313-b
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2004~2006年
  • 研究担当者:大久保直美、近藤雅俊(筑波大学)、中山真義、安藤敏夫(千葉大学)
  • 発表論文等:1)Kondo et al.(2006)Annals of Botany. Vol. 98, p.1253-1259
                      2)Kondo et al.(2007)Bioscience Biotechnology and Biochemistry. 71:458-463