覆輪花色トルコギキョウの冬季における「色流れ」を防止する栽培温度条件

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要約

トルコギキョウ花弁の覆輪着色面積率は、冬季の慣行栽培温度である20℃付近の日較差の小さい条件で最も増加し、品質が顕著に低下する。一方、日最高気温35℃、日最低気温5℃と日較差が大きい温度条件下では正常な覆輪花色となる。

  • キーワード:トルコギキョウ、覆輪花色、気温
  • 担当:花き研・生育開花調節研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-6807
  • 区分:花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

主要切り花に成長しつつあるトルコギキョウでは、白色花弁が紫やピンクの色彩で彩られる覆輪模様が代表的な花色のひとつである。花弁に占める着色部の面積は栽培条件によって変動し、変形を伴う極端な着色部の拡大(色流れ)は切り花品質を低下させる(図1右)。着色部の拡大は冬季に多発するため、「色流れ」の発生には低温の影響が想定されているが、詳細は明らかではない。そこで覆輪安定性の低い品種「キャンディマリン」を用いて、栽培温度条件と花弁の「色流れ」発生の関係を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 覆輪着色面積率は、昼夜20℃一定温度条件で90%と最も高く、温度が上昇するにつれて直線的に減少し、25℃で15%と最も低くなる(図2)。本供試品種は着色面積率が30%を越えると「色流れ」を呈することから、一定温度条件では25℃以上で正常な覆輪花を生産できる。
  • 日平均気温が20℃となるような、気温日較差0℃(日最高/最低気温20℃/20℃)、日較差16℃(28℃/12℃)、日較差30℃(35℃/5℃)の変温条件(図3)では、日較差が大きいほど着色面積率が低下し、正常な覆輪花となるうえ、開花が促進される(図4)。
  • よって、夜温が5℃と低温の場合でも、日最高気温を高く管理し、気温日較差を大きくすることで、花弁の「色流れ」を防ぎ、高品質な覆輪花を生産できる。

成果の活用面・留意点

  • 冬季に低コストで高品質な覆輪花色の切り花生産を可能にする栽培管理技術確立のための基礎資料となる。
  • 慣行栽培(夜温15~18℃)と比べた低夜温(5℃)管理により、暖房に要するエネルギーの大幅削減が期待できる。
  • 温度反応の解析には、光合成有効光量子束密度200μmol・m-2s-1、12時間日長の人工気象器において、常時底面給水条件、施肥窒素量約250mgで栽培した個体を用いた。

具体的データ

図1 トルコギキョウ花弁の覆輪形質の変異

 

図2 昼夜一定栽培温度条件が花弁の覆輪着色面積率に及ぼす影響 図3 日平均気温を20℃とする異なる気温日較差条件の実測値

 

図4 日平均気温を20℃とする気温日較差が花弁の着色面積率に及ぼす影響

 

その他

  • 研究課題名:きく等切り花の生育・開花特性の解明と安定多収技術の開発
  • 課題ID:213-g
  • 予算区分:交付金プロ(気候温暖化)
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:福田直子、中山真義、吉岡洋輔(筑波大院)、大澤 良(筑波大院)