遺伝子組換えと重イオンビーム照射の組合せはトレニアの形質改変を効率化する

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要約

色変わり組換えトレニアに重イオンビームを照射することで、花色等に多彩なバリエーションを効率的に付与することができる。重イオンビーム照射のみでは変化に乏しい形質に対しても、遺伝子組換えとの組合せによって幅広いスペクトルでの変異導入が可能となる。

  • キーワード:遺伝子組換え、重イオンビーム、トレニア、花色、配色パターン、花形
  • 担当:花き研・新形質花き開発研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-6822、電子メール nohtsubo@affrc.go.jp
  • 区分:花き
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

遺伝子組換え花きの作出と商品化にかかる莫大なコストやリスクを低減するための一つの方策として、遺伝子組換え花きへの重イオン ビーム照射によって短期間に多彩なバリエーションを付与する技術を開発する。トレニアの花色をターゲットに、それぞれの技法を単独で用いた場合には得られ ない幅広い変化に富む新形質花きの作出を試みた。

成果の内容・特徴

  • アントシアニン合成系をターゲットとした遺伝子組換えと重イオンビーム照射の組合せにより、最短1年で100種類以上の新たな花色のトレニアを作出できる(図1)。
  • 遺伝子組換えと重イオンビーム照射の組合せにより、特に花色に関しては重イオンビームを単独で用いた場合よりもはるかに高い効率と幅広い変異スペクトルで新形質を付与できる(図1、表1)。
  • 重イオンビーム照射で変化しにくい形質も、遺伝子組換えとの組合せによって効率よく変えることができる(図1、野生型(WT)では花色の変異スペクトルが非常に狭いのに対し、色変わり組換え系統(CS400-29、DA416-20)を照射元株とするものでは系統ごとに異なる幅広いスペクトルの変異が得られる)。

成果の活用面・留意点

  • 二種の技法の組合せによって、目的形質に絞った短期間での効率的なバリエーション付与が可能となり、多くの作物の形質改変を加速化することが可能となる。
  • 重イオンビーム照射で変異を導入することが難しかった形質についても、遺伝子組換えとの組合せで効率よく改変することが可能となる。
  • 遺伝子組換え花きに短期間で多彩なバリエーションを付与することにより、商品化にかかるコストを低減することができる。

具体的データ

図1.重イオンビーム照射で作出した花色・配色パターン・花形の変異

 

表1.野生型及び色変わり組換えトレニアへの重イオンビーム照射による変異率の比較

 

その他

  • 研究課題名:花きの花色改変等新形質付与技術の開発
  • 課題ID:221-k
  • 予算区分:高度化事業
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:大坪憲弘、間竜太郎、仁木智哉、佐々木克友(特別研究員)、山口博康、鳴海貴子(特別研究員)、西島隆明、林依子(理研)、龍頭啓充(理研)、福西暢久(理研)、阿部知子(理研)