交雑によるエチレン低感受性カーネーション系統の作出とそのエチレン反応性
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要約
系統64-54やその親、兄弟系統を交雑に利用することにより、外生エチレンによる花弁の萎凋が生じにくいエチレン低感受性カーネーション系統が作出可能である。エチレン低感受性系統には、自己触媒的エチレン生成に関して大きな違いがみられる。
- キーワード:カーネーション、花持ち、エチレン感受性、自己触媒的エチレン生成
- 担当:花き研・新形質花き開発研究チーム
- 連絡先:電話029-838-6814
- 区分:花き
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
外生エチレンの影響を受けにくいカーネーション品種として「キネラ」が報告されているが、交雑育種によるエチレン低感受性カー
ネーションの作出方法は明らかでない。花き研では、花持ち性の育種において「キネラ」よりさらにエチレン低感受性の系統64-54を選抜している。また、
ビデオシステムを用いた間欠画像撮影によるエチレン感受性簡易検定法を開発し、詳細な感受性の違いを判別可能である。そこで、系統64-54やその親、兄
弟系統を材料にエチレン低感受性を目標とした交配を行い、感受性簡易検定法を利用して、エチレンに極低感受性の系統を作出する。さらに、得られた低感受性
系統のエチレン処理に対する反応性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 系統64-54やその親、兄弟系統を交配に用いて、エチレン感受性簡易検定法による選抜を行うことにより、エチレン低感受性系統が作出可能である(図1)。
- 系統64-54に加え、新たに選抜した6系統は外生エチレン処理による花弁の萎凋が生じにくい(表1)。特に、系統902-48a、234-43S、234-36Sのエチレン感受性は低い(表1、図3)。
- 選抜されたエチレン低感受性系統の花持ち日数は、7.6~11.3日であり、対照品種「ホワイトシム」の1.4~2.1倍の花持ち性を示す(表1)。
- エチレン低感受性の7系統中5系統では、エチレン処理後外見上は花弁の萎凋を生じないが、多量のエチレン生成が誘導されている。一方、系
統118-64S、120-69Sは、エチレン処理による花弁の萎凋が生じにくいだけではなく、自己触媒的エチレン生成量に関しても低レベルである(図2)。このように、エチレン低感受性系統には、自己触媒的エチレン生成に関して大きな違いがみられる。
成果の活用面・留意点
- 交雑育種によるエチレン低感受性カーネーション品種作出が可能となる。
具体的データ

その他
- 研究課題名:花きの花色改変等新形質付与技術の開発
- 課題ID:221-k
- 予算区分:交付金プロ(実用遺伝子)
- 研究期間:1999~2007年度
- 研究担当者:小野崎 隆、八木雅史、柴田道夫
- 発表論文等:Onozaki et al. (2008) Scientia Horticulturae 116: 205-212.