花き病害図鑑の作成とウェブサイトでの公開

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

多数の花き病害について「花き類病害の診断・防除」データベースを作成し、ウェブサイトで公開した。植物名、病原体名などから花き病害の病徴写真および解説記事が検索できる花き病害図鑑ウェブサイトは病害の診断・防除に利用できる。

  • キーワード:花き、病害診断、ウェブサイト、オンライン検索
  • 担当:花き研・生育開花調節研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-6820
  • 区分:花き、共通基盤・病害
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

花きは栽培されている品目が非常に多く、5,000種以上あるとされる。そのため個々の花きの病害の診断・防除についての情報は他作物に比べ非常に少ない。またウェブ上での公開はさらに少なく、その内容も十分とはいえない。当該病害がどのような病原体によって発病するのかがわかれば、防除資材の選択や耕種的防除法を構築するうえで重要な参考資料となる。そこで、大学・都道府県の試験研究機関と連携して、花き病害の診断・報告を迅速に行い、そこで得られた成果を、電子版病害図鑑化し、花き病害の診断・防除に役立てることを目的とする。

成果の内容・特徴

  • 本ウェブサイト(http://www.naro.affrc.go.jp/flower/kakibyo/、図1)は花き研究所のウェブサイト上に開設されている。検索(図2)は植物名検索(アイウエオ順、例;トルコギキョウ)、植物科名検索(アイウエオ順、例;リンドウ科)、病名検索(アイウエオ順、例;灰色かび病)、病原菌名検索(ABC順、例;Botrytis cinerea)、キーワード検索(任意)より構成される。例えばトルコギキョウの病害全体を知りたい場合、植物名検索で複数の病害の一覧が現れる(図3)。この中から知りたい病害を選択すればその病害の病名、病原体、病徴写真、発病時期、防除法、文献等が得られる(図4)。これらはA4版にカラー印刷することが可能である。
  • 本ウェブサイトでは花きの新病害と既知の主要病害である449病害(68科、161植物)を1,380枚の写真と解説記事でデ-タベ-ス化している(2008年11月現在)。
  • 電子メールでの診断依頼に答えることにより栽培現場との双方向のやりとりが可能となる。

成果の活用面・留意点

  • 都道府県の普及所・防除所・研究所、農家等の花き栽培現場での病害診断の補助となる。
  • 取り扱った病害数は花き病害数に比べれば不足しているが、電子版の特徴を生かし、順次デ-タベ-スに追加していく予定である。

具体的データ

図1 表紙

図2 検索ページ(植物科名)

図3 トルコギキョウの病害一覧

図4 病害シートの例(トルコギキョウ灰色かび病)

その他

  • 研究課題名:きく等切り花の生育・開花特性の解明と安定多収技術の開発
  • 課題ID:213-g
  • 予算区分:実用技術
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:築尾嘉章、佐藤衛、松下陽介、伊藤陽子、月星隆雄、木口忠彦(北海道花野セ)、
                       西脇由恵(北海道花野セ)、小松勉(北海道花野セ)、野津あゆみ(北海道花野セ)、
                       杉山悟(青森農総セ・フラワー)、忠英一(青森農総セ・フラワー)、
                       加藤直樹(青森農総セ・フラワー)、吹田幸嗣(青森農総セ・フラワー)、
                       成田恵美子(青森農総セ・フラワー)、菅原敬(山形庄内農普産地研)、佐藤利美(山形農総セ)、
                       越智昭彦(山形農総セ)、植松清次(千葉農林総研・暖地園研)、
                       大谷徹(千葉農林総研・暖地園研)、田中千華(千葉農林総研・暖地園研)、竹内純(東京農総セ)、
                       星秀男(東京農総セ)、鈴木幹彦(静岡農林研)、景山幸二(岐阜大・流域圏セ)、
                       岡田清嗣(大阪環境農総研)、梶谷裕二(福岡農総試)、石井貴明(福岡農総試)
  • 発表論文等:https://kakibyo.dc.affrc.go.jp/list/menu.php