トルコギキョウ促成栽培における覆輪着色面積率と花芽分化は施肥量の影響を受ける

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要約

20℃一定条件において、生育を促進する範囲では施肥量が多いほど覆輪着色面積率が高まり、主茎節数が増加して開花が遅延する。

  • キーワード:トルコギキョウ、覆輪花色、施肥量、花芽分化、促成栽培
  • 担当:花き研・生育開花調節研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-6801
  • 区分:花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

秋に定植し、冬春季に出荷するトルコギキョウ促成栽培では、開花遅延が生じやすく計画生産が困難であるとともに、覆輪花色の品種においては花弁の着色部が不定形に拡大して品質低下が生じやすい。覆輪着色面積率は20℃前後の日較差の小さい温度条件で拡大しやすくなる(平成19年度成果情報)。ここではさらに、覆輪着色面積率と花芽分化に対する施肥量の影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 人工光12時間日長20℃一定条件で濃度の異なる液肥を用いて施肥量を変えた場合、覆輪着色面積率は個体あたりの総窒素施用量が324mgで最も高く、施用量が少ないと低下する(図1)。覆輪着色面積率は切り花重で代表される生育量と高い相関が認められる(図2)。
  • 覆輪12品種を12月に定植し、20℃一定条件において個体あたりの施肥量を窒素成分で54、122、542mgと変えて栽培すると、全ての品種で着色面積率は施肥量が少ないと低下する(図3)。施肥量の違いによる着色面積率の変動程度には品種間差があり、影響が小さい品種も認められる(図3)。
  • 窒素成分542mg施肥区では122mgと比較して、花芽分化の早晩を示す主茎節数が4節多く、切り花長が155cmと長大になり、到花日数は11日遅くなる(表1)。この傾向は用いた全ての品種で認められる。
  • 以上から、トルコギキョウの覆輪着色面積率と花芽分化は施肥量の影響を受けることが新たに明らかになり、20℃一定条件では施肥量が多いと覆輪着色面積率が増加するとともに、花芽分化が遅れる。

成果の活用面・留意点

  • トルコギキョウの一般的な施肥量は、堆肥由来分を除いて窒素成分で1.5~2.0kg/a。栽植密度3600個体/aとすると個体あたり400~600mgに相当する。
  • 栽培温度が20℃前後になりがちな冬春季開花の促成作型において、覆輪花色の安定化と、計画生産のための栽培技術の開発に活用できる。
  • 底面給水による直径10.5cmのポット栽培で得られた結果である。図1は光合成有効光量子束密度200 μmol・m-2s-1、12時間日長の人工気象室で窒素成分が0、50、150、300 ppmの異なる濃度の液肥(OKF-1)を用いた。図3、表1は自然光下で緩効性肥料を用いた。

具体的データ

図1 施肥量が覆輪着色面積率に及ぼす影響 品種‘キャンディマリン’(極早生)人工光12時間日長20°C一定   垂直線は標準誤差

図2 20°C一定における施肥量の違いによる生育量と覆輪着色面積率との関係

図3 覆輪着色面積率の施肥量による変化の品種間差 自然日長20°C一定、直線は標準誤差を示す表1 施肥量が‘ネイルスワロー’の切り花形質と到花日数に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:きく等切り花の生育・開花特性の解明と安定多収技術の開発
  • 課題ID:213-g
  • 予算区分:交付金プロ(気候温暖化)
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:福田直子、中山真義、吉岡洋輔(筑波大院)、大澤 良(筑波大院)
  • 発表論文等:福田・柴田(2009)園学研 8:187-192