キク矮化ウイロイド抵抗性品種の選抜と抵抗性の後代への遺伝

要約

キク品種「岡山平和」はキク矮化ウイロイド抵抗性品種であり、感受性品種と交雑するとその抵抗性が後代に遺伝する。

  • キーワード:キク、キク矮化ウイロイド、抵抗性、感受性
  • 担当:日本型施設園芸・花き効率生産
  • 代表連絡先:電話 029-838-6801
  • 研究所名:花き研究所・花き研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

キク矮化ウイロイド(Chrysanthemum stunt viroid, CSVd)はキクに感染すると矮化症状を示す病原体であり、全国のキク産地で毎年発生し問題となっている。CSVdが一度感染すると植物体から除去することは非常に困難であるため、抵抗性品種の利用が望まれている。しかし、CSVd抵抗性品種の存在はほとんど知られておらず、抵抗性の後代への遺伝に関しては全く不明である。そこでCSVd抵抗性のキク品種および系統を選抜し、抵抗性品種と感受性品種を交雑して抵抗性が遺伝するか否かを明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 表1の各キク品種に接木接種によりCSVdを接種し、上位葉からRT-PCRによってCSVdの検定を行うと、キク品種「岡山平和」と「岩の白扇」を除く、すべての品種で接木接種30日後にCSVdがRT-PCRで検出される(表1)。
  • 「岡山平和」と「岩の白扇」は接種後にRT-PCRで検出されるまでの期間が他の品種と比較して著しく遅れる。また、「岡山平和」は接種210日後においても感染は認められないことから、CSVdの感染に対する抵抗性がある(表1)。
  • 抵抗性品種「岡山平和」と感受性品種「セイエルザ」および「アンリ」を交雑した後代を接木接種試験によって選抜を行うと、抵抗性個体がそれぞれ76個体中13個体、8個体中1個体得られ(表2)、「岡山平和」のCSVd抵抗性は後代に遺伝する。

成果の活用面・留意点

  • 「岡山平和」はCSVd抵抗性品種の育種材料としての活用が期待される。

具体的データ

 表1~2

その他

  • 中課題名:生育開花機構の解明によるキク等の主要花きの効率的計画生産技術の開発
  • 中課題番号:141e0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2007~2011年度
  • 研究担当者:松下陽介、住友克彦、青木 献(愛知県)
  • 発表論文等:Matsushita Y. et al. (2012) Crop Protection 35(1):1-4