ペチュニアにおけるジャガイモやせいもウイロイドの種子伝染
要約
ペチュニアにおいてジャガイモやせいもウイロイドは胚珠または花粉を介して種子伝染する。胚珠内に感染したジャガイモやせいもウイロイドは受粉後の種子発達過程において、胚および胚乳に感染することで種子伝染が起こる。
- キーワード:ジャガイモやせいもウイロイド、種子伝染、花粉、胚珠、ペチュニア
- 担当:環境保全型防除・生物的病害防除
- 代表連絡先:電話 029-838-6801
- 研究所名:花き研究所・花き研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
ジャガイモやせいもウイロイド(Potato spindle tuber viroid; PSTVd)は植物防疫法において有害動植物に指定されている病原体であり、2009年にトマトにおいて国内での初発生が確認された。PSTVdはトマト等で種子伝染することが知られているが、その伝染機構については不明である。そこで、ペチュニアにおいてPSTVdが胚珠および花粉を介して種子伝染することを示し、次にPSTVdに感染したペチュニアにおける花芽分化から種子形成に至るまでのPSTVdの感染分布を組織化学的方法(in situ hybridization法)を用いて明らかにする。
成果の内容・特徴
- PSTVdはペチュニアにおいて胚珠または花粉を介して種子伝染する(表1)。
- PSTVdは花芽分化から開花までの期間において、包葉や雄ずい、花弁、胎座、珠皮まで感染する(図1A-C)。
- PSTVdは胚珠の珠皮に感染し、発達した柔細胞の消失とともにPSTVdも消失する(図1D-F)。
- PSTVdは受粉後に形成される胚および胚乳に感染する(図1E-G)。
- PSTVdに感染している胚の茎頂分裂組織にはPSTVdは感染しない(図1G)。
成果の活用面・留意点
- PSTVdの種子伝染は胚および胚乳に感染していることから、種子の表面洗浄だけではPSTVdを除去することはできない。
- PSTVdは種子内部に感染していることから、本ウイロイドの種子検査の際には種子を破壊しなければならない。
具体的データ
その他
- 中課題名:生物機能等を活用した病害防除技術の開発とその体系化
- 中課題整理番号:152a0
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2011~2014年度
- 研究担当者:松下陽介、津田新哉
- 発表論文等:Matsushita Y. and Tsuda S. (2014) Phytopathology 104(9):964-969