カンキツそうか病ベンズイミダゾール耐性菌の検定方法とその防除対策
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要約
カンキツそうか病菌のベンズイミダゾール耐性検定法は,ベノミル1,10,100ppm添加及び無添加PDA培地の表面に菌体磨砕懸濁液を流し込み,菌そうの生育の有無によって,感性菌及び,弱,中等度及び強耐性菌の4種類に判定する。耐性菌の防除にはジチアノン剤,フルアジナム剤を散布する。
背景・ねらい
そうか病防除にベンズイミダゾール剤が一般に散布されているが,最近,効果の低い園が各地で見られるようになったので,その原因を明らかにして防除対策を確立する。
成果の内容
- ベンズイミダゾール耐性検定を行う場合,接種源として菌体磨砕懸濁液を薬剤添加PDA培地表面に流し込むことにより検定が可能となった。
- ベンズイミダゾール系薬剤の防除効果が低い園から,耐性菌が分離された。
- ベンズイミダゾール耐性菌として,弱,中等度及び強耐性菌が確認された。
- ベノミルの実用散布濃度(250ppm)では,弱耐性菌は感性菌に比較して若干防除効果が劣る程度であったが,中等度及び強耐性菌に対しては防除効果が見られなかった。
- 弱及び中等度耐性菌は他系統薬剤のジエトフェンカルブに複合耐性を示したが,強耐性菌は示さず防除効果が認められた。
- 3種類の耐性菌に対して,ジチアノン,フルアジナムは効果が見られた。
成果の活用面・留意点
そうか病防除に際して,ベンズイミダゾール系薬剤の防除効果が低下している地帯では,交差及び複合耐性を示さないジチアノン,フルアジナムなどの薬剤を散布する。また,薬剤耐性菌を出現させないために同系統薬剤の連用を避け,他系統の薬剤を組み合わせた防除体系を実施する。
具体的データ


その他の特記事項
- 研究課題名:カンキツそうか病菌のベンズイミダゾール耐性検定
- 研究期間・予算区分:平成4~5年・経常
- 研究担当者:家城洋之
- 発表論文等:
カンキツそうか病菌のベンズイミダゾール系薬剤に対する耐性菌の出現,平成5年度日本植物病理学会関東部会発表,1993
カンキツそうか病菌のベンズイミダゾール系薬剤に対する耐性菌の出現,日植病報(投稿中),1994