リバビリンを用いたカンキツタターリーフウイルス無毒化技術

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要約

カンキツタターリーフウイルスの無毒化方法は,展開まもない新梢にリバビリン500ppm を週1回の間隔で6~8回噴霧し,その新梢を取って穂木とする。ポンカンでは本処理法のみでは無毒化しにくいので,穏やかな熱処理を併用する。

背景・ねらい

カンキツタターリーフウイルスはカラタチ台木との接ぎ木不良を起こし,樹勢を著しく低下させ,やがて枯死させる重要なウイルスである。本ウイルスの無毒化は従来の技術である熱処理や茎頂接ぎ木では,技術的に困難で効率が悪かったため,普及性の高い簡単な技術の開発が望まれていた。

成果の内容・特徴

  • カンキツタターリーフウイルスを保毒する4種類のカンキツに,ウイルス不活化作用があるリバビリン(1-β-D-Ribofuranosyl-1,2,4-triazole-3-carboxamide)500ppm噴霧処理でポンカンを除く3品種で100%の効率で無毒穂木が得られた。
  • 処理方法は,展開まもない新梢にリバビリン500ppmを週1回の間隔で6ないし8回噴霧処理を行った後,穂木を採取してラフレモン実生などに接ぎ木してラスクシトレンジで検定を行った。
  • 噴霧処理のみで無毒化できないポンカンに対しては,穏やかな熱処理(昼間35°C/夜間30°C)を併用すると効率よく無毒穂木が得られた。

成果の活用面・留意点

本方法は従来の方法に比べて,極めて簡単で効率がよく,耐熱性が弱く熱処理が困難な品種に対して特に有効で,簡易に無毒穂木が得られる。

具体的データ

表1 リバビリン噴霧処理によるカンキツタターリーフウイルスの無毒化

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:カンキツタターリーフウイルスの系統分化と抗体の作製
  • 研究期間・予算区分:平成3~7年・経常
  • 研究担当者:岩波徹,家城洋之
  • 発表論文等:リバビリン噴霧処理によるカンキツタターリーフウイルスのカンキツ苗条からの除去,平成6年度日本植物病理学会大会発表,1994