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カンキツ新品種「はれやか」は,「アンコール」に「ポンカン」を交雑し育成したミカンである。糖度が比較的高く,ポンカンに似た芳香の強い,食味良好な有核品種である。適熟期が2月となることから,秋冬期が温暖な地域において,高品質品種としての普及が期待できる。
晩生カンキツである「アンコール」は昭和40年代に米国より導入され,各地で検討の結果,糖度の高さが注目された。しかし,露地栽培では果実肥大が不十分で,商品性のある果実生産ができなかった。また,ポンカンは食味の良いことが消費者ニーズに合致しているが,栽培性に問題がある。このように,「アンコール」には小果で酸味が強すぎる点,ポンカンにはす上がりしやすい上に収量が低い点等の改良すべきところがある。両品種の交雑により「アンコール」より早熟で,露地栽培が可能な,しかも大果でポンカン並に高品質で,す上がりしにくい生食用カンキツの育成を試みた。
「はれやか」は「アンコール」と異なり,露地栽培が可能な比較的大果の良香,良食味な中生品種である。本品種はポンカンに続き収穫でき,鳥害,果実の凍害が防げれば成熟期まで樹上に残し,順次,食味の良い果実が出荷できるため,採取労力の分散,経営の拡大の一助にもなる。
生育期の強風が無く,温暖な地域に適する。酸味が比較的強いことから,減酸には生育期が温和で,秋冬期の気温も高い地域での栽培が望ましい。樹勢が強く結実開始期が遅れる。また,生産がやや不安定である。枝梢の直立性が強いので,ポンカンの栽培法に準じ,整枝・せん定・誘引等の技術を開発して,結実を安定させる必要がある。なお,減酸がやや遅く,2月以降が適熟期であるが,浮皮の程度が増大するので,適切な採収時期を産地ごとに把握する必要がある。