非破壊装置を用いたカキ果実硬度の測定
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要約
カキの果実表面を軟らかさ非破壊評価装置のプランジャで圧縮し,その圧縮時間を整数化した値(HITカウンタ値)と果実硬度との関係を調査した。その結果,本装置による圧縮時間を計測することによって,カキの果実硬度を非破壊的に測定できる。
背景・ねらい
カキ果実の日持ち性や貯蔵性を判断する上で,果実硬度の測定は不可欠である。従来,カキの果実硬度の測定には,サンプルを破壊する貫入式果実硬度計が使用されてきた。この手法では,統計的な解析に多くの果実を要すること,全数調査ができないこと,同一果実における果実硬度の経時調査ができないことなどの欠点があった。これらの欠点を克服するために,果実硬度の非破壊測定法の開発が強く望まれてきた。
そこで,軟らかさ非破壊評価装置(HITカウンタ,栄信工業社製)を使用して,果実の弾性範囲内の力で果実表面を圧縮し,その圧縮時間を測定し,カキの果実硬度の非破壊測定を試みた。
成果の内容・特徴
- 軟らかさ非破壊評価装置の正面図を図1に示した。果実硬度は,プランジャによる圧縮変位を整数化した数値(HITカウンタ値)で表され,HITカウンタ値が大きいほど,果実が軟化していることを示した(図2)。
- 直径5.0mm のプランジャを用いて,計測開始時荷重200gf,計測終了時荷重500gf,限界変形量10mm,圧縮速度25mm/分としたとき,赤道部のHITカウンタ値と貫入式の果実硬度計で測定した果実硬度との間に,高い相関関係が得られた(表1)。
- これらの結果から,軟らかさ非破壊評価装置を用いることによって,カキの果実硬度を非破壊的に測定することが可能である。
成果の活用面・留意点
- カキの果実硬度を非破壊的に評価できるため,日持ち・貯蔵試験での果実硬度の調査で有効な測定手段になる。
- カキ果実の形状や測定部位によって,プランジャの圧縮に支障が生じ,HITカウンタ値が異なることがあるため,台座を工夫する必要がある。
具体的データ
![図1 柔らかさ非破壊評価装置の正面図](../../../files/9413_zu1.gif)
![図2 カキ果実の表面硬度とHITカウンタ値との関係](../../../files/9413_zu2.gif)
![表1 HITカウンタ値とカキの果実硬度との相関関係](../../../files/fruit94-13-h1.png)
その他
- 研究課題名:カキ果実の成熟並びに品質制御技術の確立
- 予算区分:平成2~6年・経常研究
- 研究担当者:薬師寺 博,森永邦久,小野祐幸,鷹尾宏之進,伊庭慶昭
- 発表論文等:ソフトタッチセンサによるカキおよびキウイフルーツ果実硬度の非破壊測定
園学雑,60(別1),1991。
軟らかさ非破壊評価装置によるカキの果実硬度の非破壊測定について 果樹
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